11月のレクチャーでは「ドゴンの宇宙哲学」のあらましを話したあとに複素空間の話をしようと思っています。ドゴンと複素空間に何の一体何の関係があるんだと訝しがる方も多いかもしれませんが、ドゴンの宇宙哲学では宇宙の創造は神アンマが作り出すフォニオと呼ばれる一つの小さな種子から始まります。
このフォニオは「宇宙で最も小さいもの」とされ、かつ同時にそれは「前の宇宙の要素をすべて含んだもの」ともされます。前の宇宙はアカシアと呼ばれるのですが、その正体は明らかではないのですね。宇宙のほんとうの始まりはドゴン神話でもナゾなのです。ただ神アンマは「フォニオによって物質をはじめた」と言われています。
フォニオは七段階の振動を作りながら自らの内部で螺旋状に成長していきます。この七段階の振動を発展させていくのは種子の生命の本質とされることばの活動です。ことばの力によって種子がその内部で成長を遂げていく。。そこからこの種子は螺旋状の旋回を方向を反転させ世界を開いていきます。
神話を未開人の子どもっぽい馬鹿げた空想の産物ととる人たちもいますが、神話は決して過ぎ去った遠い昔の話ではなく、今現在、人々のこころの内部の深い場所で起こっている力の流動の物語と言ってよいものです。その意味では人は未だ神話の中にしか生きていないし、また神話の中でしか生きられない。。
さて、こうした話がなぜ複素空間と関係するのか——ということですが、僕にはこのフォニオが現代物理学にいう光子のことのように思えてならないからです。ドゴンの神アンマは自らが作り出した前宇宙アカシアが持っていた四元素をすべてフォニオの中に入れ込みます。
フォニオはアカシアの宇宙から見れば最も小さいものですが、同時にアカシアの宇宙をすべて含んだものと言えます。光子にも似たような性質があります。皆さんもよく知っている「ホログラフィック」と呼ばれる性質です。
部分=全体、全体=部分という考え方ですね。いわゆる現代版モナドです。光子は物理学的に言えば物質の始まりであり、また世界で最も小さなものとも言えますが、同時にそれは世界全体を巻き込んでいる。そのような在り方で実際に存在しています。
ですから、この光子は大小関係がきっちりと規定される古典物理の枠組みの中では正確には記述することができません。そこに登場してくる数学的な道具立てが複素空間というものなのです。複素空間の次元というのは一つの次元単位が2次元で構成されます。
つまり、互いに直交する実数軸と虚数軸で作られる複素平面が複素1次元と呼ばれるものになります。光子はこの複素1次元の空間上でで描かれる単位円周上でグルグル回転しているものとして記述されます。ドゴンの神話ではフォニオは双子です。現代物理学でも光子は双子です。その双子性は光子が持つ角運動量(スピン)の固有値1と−1として表されています。
ということで、次回のレクチャーは前半を「ドゴンの神話」について語り、後半を「複素空間」についての解説をしながら、存在の種子であるフォニオの正体についてヌーソロジーの観点から謎解きを進めていきたいと思っています。
数学的な話はまだそんなに詳しくしないので、数学が苦手な方でも何の問題もありません。興味がある方は是非レクチャーの方に足をお運びいただければと思います。
12月 20 2013
宇宙の種子「フォニオ」と複素空間
11月のレクチャーでは「ドゴンの宇宙哲学」のあらましを話したあとに複素空間の話をしようと思っています。ドゴンと複素空間に何の一体何の関係があるんだと訝しがる方も多いかもしれませんが、ドゴンの宇宙哲学では宇宙の創造は神アンマが作り出すフォニオと呼ばれる一つの小さな種子から始まります。
このフォニオは「宇宙で最も小さいもの」とされ、かつ同時にそれは「前の宇宙の要素をすべて含んだもの」ともされます。前の宇宙はアカシアと呼ばれるのですが、その正体は明らかではないのですね。宇宙のほんとうの始まりはドゴン神話でもナゾなのです。ただ神アンマは「フォニオによって物質をはじめた」と言われています。
フォニオは七段階の振動を作りながら自らの内部で螺旋状に成長していきます。この七段階の振動を発展させていくのは種子の生命の本質とされることばの活動です。ことばの力によって種子がその内部で成長を遂げていく。。そこからこの種子は螺旋状の旋回を方向を反転させ世界を開いていきます。
神話を未開人の子どもっぽい馬鹿げた空想の産物ととる人たちもいますが、神話は決して過ぎ去った遠い昔の話ではなく、今現在、人々のこころの内部の深い場所で起こっている力の流動の物語と言ってよいものです。その意味では人は未だ神話の中にしか生きていないし、また神話の中でしか生きられない。。
さて、こうした話がなぜ複素空間と関係するのか——ということですが、僕にはこのフォニオが現代物理学にいう光子のことのように思えてならないからです。ドゴンの神アンマは自らが作り出した前宇宙アカシアが持っていた四元素をすべてフォニオの中に入れ込みます。
フォニオはアカシアの宇宙から見れば最も小さいものですが、同時にアカシアの宇宙をすべて含んだものと言えます。光子にも似たような性質があります。皆さんもよく知っている「ホログラフィック」と呼ばれる性質です。
部分=全体、全体=部分という考え方ですね。いわゆる現代版モナドです。光子は物理学的に言えば物質の始まりであり、また世界で最も小さなものとも言えますが、同時にそれは世界全体を巻き込んでいる。そのような在り方で実際に存在しています。
ですから、この光子は大小関係がきっちりと規定される古典物理の枠組みの中では正確には記述することができません。そこに登場してくる数学的な道具立てが複素空間というものなのです。複素空間の次元というのは一つの次元単位が2次元で構成されます。
つまり、互いに直交する実数軸と虚数軸で作られる複素平面が複素1次元と呼ばれるものになります。光子はこの複素1次元の空間上でで描かれる単位円周上でグルグル回転しているものとして記述されます。ドゴンの神話ではフォニオは双子です。現代物理学でも光子は双子です。その双子性は光子が持つ角運動量(スピン)の固有値1と−1として表されています。
ということで、次回のレクチャーは前半を「ドゴンの神話」について語り、後半を「複素空間」についての解説をしながら、存在の種子であるフォニオの正体についてヌーソロジーの観点から謎解きを進めていきたいと思っています。
数学的な話はまだそんなに詳しくしないので、数学が苦手な方でも何の問題もありません。興味がある方は是非レクチャーの方に足をお運びいただければと思います。
By kohsen • 01_ヌーソロジー • 0 • Tags: ドゴン, 複素空間