7月 23 2009
日食とゾーエー
昨日は日食の日だった。残念ながら博多は曇り空。期待していたようなド派手な天体ショーは見られなかった。
博多では約9割の部分日蝕だったそうだが、曇り空の下、残る一割の太陽光でも地上を照らし出すには十分だった。薄灰色の空の明るみがとりわけ1/10になるということもなく、さほどの大きな変化は見られなかった。しかし、日食が今、現在ここで起こっているという認識のためか、曇り空の下を照らし出している透過光が食の進行とともに微妙に変質していくような不思議な感覚があった。この感覚はなんなのだろう………?光の質感の微妙な変化。そのせいで空間の質感までもが変わっていく。多少の気温変化のせいもあったのかもしれない。大気がそれまでの緊張感を緩め、徐々にぬめっていく感じがした。そのぬめりは決して心地のいいものではなく、かすかな吐き気を伴う感覚だった。
何かに似ていると思った。これはかつてどこかで体験した感覚だ——モスクワだ。モスクワの黄昏。もう20年近くも前になる。所用でロシア(当時はソビエト連邦)に行った。モスクワ入りしたのが夕刻でもあったせいか、やたら空港が暗かった(海外の空港は節電のためかほとんどが照明を落としている)。空港からバスで市街地に向かう途中、道路沿いに整然と並べられたナトリウム灯が共産主義が生み出した味気のない建物群を鈍いオレンジ色の光で照らし出していた。ところどころに掲げられたキリル文字のネオンサイン。日本の都市とは似ても似つかぬ情景。そのときのモスクワは僕にとってまるで異星の植民都市のような雰囲気を醸し出していたのだ。グレーがかったオレンジ色で染め上げられた街並は奇妙な湿度を漂わせ、どこか夢見の空間のようでもあった——。
日食とナトリウム光が具体的にどのような関係にあるのかは分からない。しかし、この二つは確実に何かによって結ばれている感じがする。
* * * *
月が太陽を食らう。この現象に一体どのような意味があるというのだろう。古代人は日食を悪魔の仕業と恐れたという。それは現代人にも分かる自然な感情だ。太陽とは大地に恵みをもたらす豊穣なる生命力の象徴であり、太陽抜きで地上の生命は生きることはできない。
その太陽の営みを月が遮る。それが日食だ。月は何のために太陽の光を遮るのか。月とて生命の母胎として地球上の生物たちに測り知れないほどの影響を与えているではないか。月はなぜ太陽の邪魔をしようとするのか。これは神学的には極めて挑発的な問いかけである。
太陽が持った生命力と月が持った生命力。この二つの力の間にどのような差異があるのか——すぐに思いつくのはビオス(bios)とゾーエー(zoe)だ。古代ギリシア人たちは生命力には二つの種類があると考えた。ビオスはbiologyの語源ともなっている言葉だが、この言葉には個体的な生命力の意味がある。蝶なら蝶が羽ばたき、魚なら魚が遊泳する。生命力は個体において結晶化し、その生を表現し、謳歌する。
一方、生命力の全体性を支配している力というものもある。それがゾーエー(zoe)だ。全生物は食物連鎖という形でまるで一つの巨大な多様体のようにして生きている。土の中に微生物が生きていなければ植物は存在しないし、植物が存在しなければ当然のことながら動物もまた存在することはできない。この生命の連鎖運動はビオスが持った個体化を支える力とはある意味対極的な力となっている。なぜなら、生態系全体の流動を守るために個体性が滅びることもあれば、まだ、全体性を浸食していこうと渇望する個体性もある。人間(ホモサピエンス)などはその典型的な例と言っていいだろう。
ヌーソロジーが展開する思考図式からすると、太陽が持った生命力がビオスで、月が持った生命力がゾーエーである。その意味で、太陽-地球間への月の割り込みである日食はビオスの力を無効にしようと介入してくるゾーエーの力と深い関係を持っている。つまり、日食は生命の全体性への回帰の扉の出現とも言えるものだ(下図1参照)。
生物において個体化を進める力のソースはおそらく太陽にある。人間においてはそれは理性(アポロン的なもの)として現れてくるのだが、この理性は医学における身体観や政治学における身体観を例に挙げるまでもなく、生命を物質や社会といった枠組の中で外部操作的に扱うことに長けている。こうした局面で思考されている身体の力はすべてビオスに負うところが大きいのではないか。国家が個体の誕生や死を登録、管理し、バイオテクノロジーが個体の遺伝子を操作、制御する。人間はビオスの力を利用し、それによって力は個体性の名のもとに囲われ、生命という大義名分のもとに人工飼育されるのだ。
月が太陽を食らうという現象は、こうしたビオスの力から逃走しようとするゾーエー側からのカウンター(対抗)と考えられる。地球-月-太陽というトリニティー構造の中で生命エネルギーを円滑にを循環させていくためには、ビオスがもたらす個体化や制度化というエネルギーの萎縮を再度、原初的生命力であるところのゾーエーへと刷新していく必要があるからだ。個体へと凝縮を行ったものは、また、全体へと解放されなければならない。それは生と死、エロスとタナトスの間に働く呼吸でもある。生命エネルギーが持った全体性への放流は地球と太陽、つまり、物質と精神の癒着を無効にし、月に象徴される身体そのもののが持った力を甦らそうとする。身体自身は人間の理性には統御不能な無意識の海であり、そこにはデュオニソス的な情動力が渦巻いている。ベンヤミンの言葉でいえば神的暴力の坩堝である。
グローバルスタンダードの名のもとに日ごと画一化していく社会に対して、絶えず謀反を起こそうと企てる異端分子的エネルギーはその意味で言えば、神的暴力の力でありゾーエーから迸り出るものだ。個体性にとって全体性は極めて危険な暴徒であり、反対に、全体性にとって個体性は無秩序のカオスを作り出す要因でもある。僕ら人間の生命力は今、ビオスとゾーエーの狭間で大きく揺らいでいる。太陽の時代は終わった。といって月の時代を標榜するのは退行である。のぞむべくは、日食という扉を通して、月と太陽を結ぶルートを敷設する必要があるのだ。そこに流れているものはビオスでもゾーエーでもない、第三の生命力である。その力を目覚めさせるためには、僕らは地球の結び目をほどかなくてはならない。地球の結び目とは物質のことである。
ミスランディア
2009年7月25日 @ 00:04
半田さん、こんばんは。私がビートルジュースの項目で質問するまでもなく、日食のお話をされることになっていたのですね。興味深く読ませて頂きました。毎日、何気なく過ごしていても、時々これはヌーシーに考えるとどう解釈するのだろう、と思うことにもよく会います。数年前に、新聞に恐竜から鳥へと進化する途中の化石が出土した、という記事がありました。私は即座に「これは意識進化をしようと必死で努力している途中の意識だな」と思ったりしました。これが正しいかどうかはわかりませんが、これからもヌースを学び続けたいです。
とーらす
2009年7月25日 @ 08:48
福岡では未曾有の集中豪雨で大変だったようですね。みなさん大丈夫だったでしょうか。それから今日はマヤン系では大晦日で、時間を外した日らしいですが、なにはともあれ、月と地球と太陽とには、良い関係で生きて行きたいものです。
nor
2009年7月25日 @ 16:33
コウセンさん、こんにちは。
西日本の豪雨、心配していました。
東京は何かひとたび災害があったらもうダメだと覚悟はしているのデスが、
やはり世紀末?にNOOSを見れた者は、
ガリレオより鋭く(^_^;)それでも空間とは何か問い続けなければなりませんね。。
日食はやはり体感ゾーンに入ると、
インドから中国、日本のテレビ中継もあるし、
皆既日食中のコロナやプロミネンスも高感度カメラで撮影されるし、
ダイアモンドリングや一瞬の暗闇に地平線周囲の夕焼け状の光、欠けた太陽と同じ形状の木漏れ日、
また気温の下降による生物の変化…
或いは宇宙ステーションからの写真で、地球の絵の上に10円玉の影のような月の影を見ることができたり、
その他いろいろ見せてくれました。
(曇りだったので三日月型の太陽なども垣間見れたわけデスね、簡単に諦めて見上げませんでした。。)
kohsen
2009年7月25日 @ 23:04
>ミスランディアさん
OCOT情報の化石解釈はぶっ飛んでますが、
ヌーソロジーで必ず攻略してみせますね。
楽しみにしていて下さい。
>トーラスさん
うちは高台だから被害は皆無でした。
それにしても凄い雨やったなぁ。。
SAACOちゃんから9月ぐらいに博多参拝に来る予定と聞きましたが、
ほんまか?
心の準備と布団の準備がいるもので(笑)。
>norさん
お久しぶりです。
執拗に空間の秘密を追い続けてます。
だいぶ進んだよ。
ねじR(兼島浩)
2009年7月26日 @ 22:02
お久しぶりです。半田広宣さん。
わたしはOCOTの起源の意識生命体の祖先のねじR(兼島浩)です(笑) わたしはこのたび、天照大神に就任することになりました。つまり、わたしが、人間を創った最初の神ということになります。意識生命体になる前は、人間は操り人形でしたが、兼島浩の出現により、操り人形から、人間へと昇格します。つまり、神代の世界が始まります。次元交換化もすでに、終えております。神のみわざを東京オリンピックで魅せるべく、日々鍛錬してまいります(笑)
ヌーソロジー・ロッジの門を開けてくださるよう管理人さんに宜しくおつたえください。
ミスランディア
2009年7月28日 @ 13:27
こんにちは、半田さん。お変わりありませんか?この間豪雨に見舞われたばかりだというのに、また九州地方に大雨が降ったというので少々心配しています。毎年九州の方は梅雨の季節になると、大雨が降るのでいつも大変だなあと思っていましたが、今年のはひどいです。ご家族や親類の方々はご無事だったでしょうか。
ところで、半田さんにこの間教えて頂いたヌースロッジの方へ行こうと思ったのですが、私のケータイからは入れないみたいなのですが…(涙)どうしたらよろしいでしょうか…
kazu
2009年7月31日 @ 02:09
こんにちは半田さん最近、冥王星のまわりに準惑星がタクサンあると知リマシタ異常気象とカカワリがあるのかな
以上ですがズレていたらゴメンナサイ
Ricardo
2009年7月31日 @ 12:50
>ねじさん
ヌーソロジー・ロッジは、現人間が自らの意識から宇宙の構造を解くべくヌーソロジーに沿って探求する方々の為のサイトです。神様には必要ないと思われますので、御遠慮ください(笑)
>ミスランディアさん
ヌーソロジー・ロッジ管理者です。
携帯電話からのアクセスのどの状態でアクセスが出来ないのかがわかりません。
新規登録の際は「新規登録」のボタンを、登録に失敗してうまくログイン出来ない場合は「>ログインできない方はこちら」リンクをクリックしてください。
それでもわからない場合は、
2sec-g1626b1d970@supermailer.jp
までご連絡ください。
(上記アドレスは7日間のみ有効です。)
宜しくお願いします。
kohsen
2009年7月31日 @ 23:01
>KAZUさん
こんにちは。
準惑星と異常気象の関係は残念ながら現在のヌーソロジーでは分かりません。
そのへんは占星術をやってる方のほうが詳しいかもしれませんね。
ミスランディア
2009年8月3日 @ 12:54
こんにちは。ヌーソロジーロッジの管理人さんRichardさん…じゃなくて、Ricardoさん、お返事ありがとうございます。なんとかロッジの方へ行けたので、これから入ってみようと思いますが、なんか色々あって先ずは何をすべきか迷っています。地図が欲しいです(笑)。こういう所に出入りするのは初めてなのですが、頑張ってみます!
ミスランディア
2009年8月4日 @ 14:36
こんにちは。ヌーソロジーロッジになんとかログインしようと頑張ってみましたが、出来なかったので、「ログイン出来ない方へ」をクリックしましたところPCアドレス(だったと思いますが)登録をしてくれ、ということだったのでそのまま取得を選択しました。ところが私のケータイが対応していないとのメッセージが出てしまいました。そこで、直接見るをクリックしましたが、「ここから先は安全なサイトではありません。」というメッセージが出てしまい、それでも先へ行こうとすると、安全なサイトではないという同じメッセージが繰り返し現れ、結局断念しました。管理人さんが教えて下さっていたところへ連絡しようとしましたが、コンテンツエラーが出てしまい、無理みたいです。諦めるしかないでしょうか?
Ricardo
2009年8月19日 @ 13:31
>ミスランディアさん
申し訳ないのですが、おっしゃってる状況がよくわかりません。
前回掲示したメールアドレスは早々に使えなくなってしまいましたので、今回は以下のアドレス宛にご連絡ください。
可能でしたら、本日(8/19)夕方迄に一度連絡いただけると助かります。
(10日間有効なアドレスのはずですが、前回は登録翌日には使えなくなってしまっていたので。)
連絡先:2sec-e162c31e98f@supermailer.jp
宜しくお願いします。
ミスランディア
2009年8月19日 @ 15:31
Ricardoさん、申し訳ないです。私はPCにもケータイにも詳しくないので、これ以上説明のしようがありません。一旦諦めます。今までの経験上、こんな風になった場合、絶対に解決しないと思うので。ただ、関係あるのかどうか分かりませんが、私の使っているケータイの機種そのものが、欠陥機種なんだそうです。なので、色々とトラブルがあり、もう古くもなっているので、近々機種変しようと思っています。その際に、PCとして使える機種にしようと考えています。それから改めてログインしてみますので、その時はよろしくお願いします。