9月 1 2008
時間と別れるための50の方法（32）
生命の樹と次元観察子の関係性（3）
さて、レジメ的になってしまいますが、ヌース理論の観察子概念と生命の樹の対応を取り急ぎまとめておきましょう。ここで紹介しておく内容は、あくまでもヌース理論から見たカバラ解釈なので、一般的なカバラ解釈と幾分齟齬を来しているところがあるかもしれませんが、古代より受け継がれて来たこの深淵な知識の謎を解明していくにあたって、ヌース理論からのアプローチはそれなりにかなり有用なものになるのではないかと思います。
まず、ヌース理論でおなじみのプレアデス（人間の次元）、シリウス（ヒトの次元）、オリオン（真実の人間の次元）という愛称を持つ三つの意識次元は、カバラでいうところのアッシャー界、イェッツェラー界、ベリアー界に対応すると考えていいでしょう（下図1参照）。アツィルト界はOCOT情報では「ヒトの上次元」と呼ばれ、真実の人間の意識がベリアーから意識進化を果たすときに入る次元です。この次元を真実の人間が完成させると、意識は「昇華」と呼ばれる作用によってその存在の必要性をなくし、何か全く別の領域に入るとOCOT情報は伝えています。
真実の人間の意識が覚醒を起こしベリアー界からアツィルト界に入るとき、同時に人間の意識はアッシャー界からイェッツェラー界に牽引されていくことになります。これが人間の意識進化に相当し、このとき月を中心に作動していたアッシャー界の中心位置としての「人間の無意識構造」はイェッツェラー界への牽引によって、今度は太陽を中心とした「ヒトの意識構造」へと変換させられていきます。これを「人間の意識の方向覚醒」と言い、意識がこの次元で働いている期間のことを覚醒期と言います。ヌースがいつも用いている言い方をすれば、潜在化として働いていた人間の無意識構造が顕在化を起こしてくるということです。顕在化=イェッツェラー界はその意味でアツィルト界によってコントロールを受けながら展開していくことになります。ヌース理論が現在関わっている部分はまさにこの部分です。
一方、生命の樹がベリアー界（コクマーとビナー）とアッシャー界を中心にして活動している期間のことをヌース理論では「調整期」と呼びます。この期間はルーリアカバラが言うように、ベリアー界の過剰な聖光によって中間領域であるイェッツェラー界はその機能を停止しています。それにももかかわらずなぜ最も下位に位置するアッシャー界が活動できるかというと、ベリアー界の力がダイレクトにアッシャー界に及ぶような円環構造が生命の樹には隠されているからです。
これはキリスト教的に言えば、父が聖霊を媒介とすることなく、直接、子と結合を持ってしまうような状態を意味します。ラカン的に言えば現実界が去勢され、象徴界と想像界が頑なに癒着している状態です。このような状態では、子の方から父へと繋がるメディアは存在せず（人間には創造の秘密が見えないということ）、父の子に対する一方的な支配関係が生まれてしまいます（人間が正体不明の神という存在に取り憑かれている状態そのものと言っていいでしょう）。まさに、ここにはユダヤ-キリスト教的な一神教の精神構造が反映されているわけです。人間が二項対立的な図式を原理とする言語活動に支配されているのも、この父-子癒着が原因となっていると考えられます。
神が上位で人間が下位。こうした目線の上下関係は、ケテルにおいて上向きの三角形（Ω11=冥王星）が登場してきたときに勢力を衰えさせ始めます。というのも、真実の人間の意識が自らの対化であるコクマー=Ω9とビナー=Ω10の関係を等化に持って行き始めるからてす。コクマー=Ω9とビナー=Ω10は生命の樹においては水平的な関係に位置していますが、その実質はベリアー界から見た、ベリアー界とアッシャー界間の双方向性、つまり生命の樹における〈下降-上昇〉関係を意味しています（図1のブルーとレッドの矢印を参照のこと）。
つまり、父（コクマー）が意識（アダム）をヒト（イェッツラー界）から人間（アッシャー界）に追放した存在だとすれば（ブルーの矢印）、母（ビナー）はその追放された人間をイェッツラーを通じて再び、自分たちの居場所へと引き戻そうとしている潜在力（これが意識です）になっているのです（レッドの矢印）。ですから、この文脈で言えば、「父（コクマー）と母（ビナー）が等化される」とは、父が母の意図を理解するようになるということであり、ここに至って、父は人間を人間に抑圧していた方向性を反転させ、自分たちの世界へと呼び戻すような精神運動を開始させます。このプロセスで人間は個体化を促進させ（Ω11=真実の人間における定質の働きです）、それと同時にその反映として人類=一つのものという概念を形成していきます（Ω12=真実の人間における性質の働きです）。人間における個的主体の確立と類的主体としての自覚。この両者がΩ11とΩ12としてのケテルの上向き三角形△と下向き▽が人間の意識に与えている役割だと考えるといいでしょう。
そして、Ω13がΩ11とΩ12を等化し、ケテルにおけるヘクサグラムの回転を促したとき、イエソドはティファレトへと反転し始めます。神秘学にいう「月と太陽の聖婚」です。母ビナーへの受胎告知とも言ってもよいかもしれません。それまで父のロゴスのみによって動いていた人間という次元は今度はヒトの次元へと向かい始め、今まで人間が死後の世界と呼んでいた場所（アッシャーにおける月（イエソド）が象徴している役割）が新たな生の世界（イェッツェラー界におけるアツィルト=Ω5）として開いてきます。OCOTが自らを冥王星の意識体と称し、自らの進化の一環として人間の意識進化を促して来た理由は自分自身がΩ13への等化の歩みを進め出したからかもしれません。
ビナーの受胎告知によって、宇宙的卵子（イエソド）に内在していた形態形成場の情報（潜在化していたヒトへの帰還の方向性）が、父のロゴス（理性）の侵入によりヌース（宇宙的知性）へと質的変容を起こし、月（イエソド）という巨大な宇宙卵の卵割（顕在化）を開始させていくわけです。こうして宇宙は覚醒期へと突入し、調整期とは全く違った局面に入ります。この目覚めによって人間の意識は中間を媒介するメディアであるイェッツェラー界を修復し、この宇宙的胎児を成長させるべくヒトの意識を発達させていきます。次の次元の宇宙的胎児の出産はヒトの意識がベリアー界へと進化するときに起こります。世界はそのとき刷新される………そういう筋書きになっているようです。
以上、現時点でのヌース理論からのカバラ解釈を取り急ぎまとめてみました。次回からは再び現地へと戻り、次元観察子ψ5～ψ6、ψ*5～ψ*6の顕在化について解説を始めることにします。ちなみに、このシリーズで今までお話ししてきた次元観察子ψ3～ψ4の領域をヌース理論が用いるPSO回路（ケイブコンパスの運動秩序を概観するためのマップ）におけるシリウスプレート内で表示すると、下図2のような位置に当たります。これからヌース理論が再生させていこうと考えているイェッェラー界（ヒトの世界）という領域がいかに広大なものであるかが直観的にせよある程度は分かっていただけるのではないかと思います。——つづく
2008年9月2日 @ 22:16
ひとつコウセンさんにお尋ねしたいことがあります。
ここの図1に書かれている内容を短絡的にまとめると、以下のような感じになると思います。これらはPSO回路とリンクするものだと考えます。
(1)プレアデス・プレート…………アッシャー界………Ω1～Ω5
(2)シリウス・プレート……………イェッツェラー界…Ω2～Ω7(+Ω8)
(3)オリオン・プレート……………ベリアー界…………Ω5～Ω13
(4)ハイパーシリウス・プレート…アツィルト界………(Ω8+)Ω9～Ω13(+～)
ところが、以前ヌース・レクチャーで伺っていたPSO回路の4プレート・バージョンは、以下のような形だったように記憶しております。
(1)プレアデス・プレート…………Ω1～Ω2
(2)シリウス・プレート……………Ω1～Ω8
(3)オリオン・プレート……………Ω9～Ω12
(4)ハイパーシリウス・プレート…Ω13～
これらの齟齬はどのように考えればよろしいでしょうか？PSO回路の発展構造が変更されたのでしょうか？
2008年9月2日 @ 22:48
もうひとつ、関連した質問があります。
ウィキペディアの「生命の樹」で紹介されている惑星の割り当てと、ヌースでの対応をまとめてみると、以下のようになります。
(1)ケテル…………海王星⇔ヌースでは冥王星（Ω11）＋惑星Ｘ（Ω12）＝真実の地球（Ω13）
(2)コクマー………天王星⇔ヌースでは天王星（Ω9）
(3)ビナー…………土星 ⇔ヌースでは海王星（Ω10）
(4)ダート…………なし ⇔ヌースでは土星（Ω8）
(5)ケセド…………木星 ⇔ヌースでは木星（Ω7）
(6)ゲブラー………火星 ⇔ヌースでは火星（Ω6）
(7)ティファレト…太陽 ⇔ヌースでは太陽（Ω5）
(8)ネツァク………金星 ⇔ヌースでは金星（Ω4）
(9)ホド……………水星 ⇔ヌースでは水星（Ω3）
(10)イェソド………月 ⇔ヌースでは月 （Ω2）
(11)マルクト………地球 ⇔ヌースでは地球（Ω1）
このうち、(1),(3),(4)のところが異なっており、一番気になるのは、ビナーの位置に、土星ではなく、次の天王星でもなく、海王星になっているところです。ここで、順序が入れ替わっているのはなぜでしょうか？また、土星がダートという特別な位置に割り当てられている、ヌース理論としての「構造」的な意味は何でしょうか？（短絡的に「生命の樹」の図を絶対的な情報と見る、ということだけでは理論としてはちょっと納得がいきません。）
2008年9月2日 @ 23:03
Φさん、こんにちは。
>これらの齟齬はどのように考えればよろしいでしょうか？PSO回路の発展構造が変更されたのでしょうか？
はい、プレアデス・ブレートの解釈を変えました。
以前の解釈では「潜在化の次元」がどうしてもうまく繰り込めなかったからです。
カバラの生命の樹はその点、とてもうまくできているようで、たとえば、アッシャーとイェッツェラーでイエソド・ホド・ネツァク、ティファレトは互いに重複する領域となっていますよね。
ブログの本文でもちょっと触れたように、このとき中心位置がイエソドからティファレトへと変移しているのが分かります。
これは惑星で言えば、月から太陽への反転になるわけですが、この反転が、次元観察子の偶数系先手の循環構造から、奇数系先手の構造という、いわゆる「潜在化」から「顕在化」と見なせるのではないかと考えました。
生命の樹では双対性についての概念が盛り込まれていないので、分かりにくい記述になったかもしれませんが、もう少し具体的に書いておくとおおよそ次のような内容です。
潜在化においては、
Ω1はΩ*2、Ω2はΩ*1、
同様にΩ3はΩ*4、Ω4はΩ*3、
Ω5はΩ*6、Ω6はΩ*5として機能していると考えられる。
アダムの前妻はリリトであった（^^）。。
一方、顕在化が起こると、ψ*2がψ1へと反転し、それと同時にアッシャーが持っていたΩの捩じれた転倒関係も消失することになります。
アダムはここで正式にエバと結ばれる（^^）。
顕在化が起こると、今度は、人間の外面が先手を打って（このときはすでに「ヒトの内面」と呼びますが）、正常にψ13〜ψ14の循環へと変わります。これは大系観察子に換えるとΩ7〜Ω8までの顕在化に当たります。ヒトの次元です。
今、言えるのはそんなとこです。
2008年9月2日 @ 23:38
Φさん、こんにちは。
>このうち、(1),(3),(4)のところが異なっており、一番気になるのは、ビナーの位置に、土星ではなく、次の天王星でもなく、海王星になっているところです。ここで、順序が入れ替わっているのはなぜでしょうか？また、土星がダートという特別な位置に割り当てられている、ヌース理論としての「構造」的な意味は何でしょうか？（短絡的に「生命の樹」の図を絶対的な情報と見る、ということだけでは理論としてはちょっと納得がいきません。）
生命の樹を絶対的な情報と見るのであれば、このような不遜な改変はしません。あくまでも、ヌースの空間構造から類推される構造性を、このカバラの神秘的象徴に当てはめる作業をしているだけです。
ビナーへの屈折は美的ではないので、実は僕も多少、気になっているところです。
ビナーを海王星としているのは、ビナーが「存在の母」とも呼ばれているからです。女性性はヌースでは「感性作用」である必要があるのです。ひょっとすると、ここでも双対を考慮する必要があるのかもしれませんが、まだ、よく分かりません。
土星=Ω8はヌースでは「力の転換作用」を示すもので、意識の相殺が起こっているところに当たります。ですから「無」です。この「無」が凝縮化により人間の内面Ω*2を形成する元となっているようなのです。Φさん的に言えば「時間」ですかね。
2008年9月3日 @ 00:01
ちなみに、私は２重構造で見えていないセフィラーがあると考え、PSO回路の以前の構造と照らし合わせ、立方体の射影としての正六角形も意識して、多少補完しながら、以下のように考えました。コウセンさんのレスを踏まえて、もう少し考えてみます。
(1)ケテル…………表に真実の地球（Ω*13）、裏に真実の月（Ω*14）がくる。
(2)コクマー………本来は惑星Ｘ（Ω12）であるが、まだ共役の海王星（Ω*10）形成段階のため、今は天王星（Ω 9)に見える。
(3)ビナー…………本来は冥王星（Ω11）であるが、まだ共役の天王星（Ω* 9）形成段階のため、今は海王星(Ω10)に見える。
(4)ダート…………２重構造で、本来は、表に天王星（Ω9）、裏に海王星（Ω10）がくるが、まだ未創造。
(5)ケセド…………土星（Ω8）
(6)ゲブラー………木星（Ω7）
(7)ティファレト…２重構造で、表に太陽（Ω5）、裏に火星（Ω6）がくる。
(8)ネツァク………金星（Ω4）
(9)ホド……………水星（Ω3）
(10)イェソド………地球（Ω1）
(11)マルクト………月 （Ω2）
(10)と(11)は既に反転しているが、「人間」は気づいていない。このため、(7)～(11)の「アッシャー界」（プレアデス・プレート）において、「人間」は(10),(11)をかろうじて、(10)＝月、(11)＝地球として認識しているが、これは逆である（つまり、「人間」は(10),(11)しか見えておらず、しかも逆に見ている）。したがって、「アッシャー界」の実体は(10),(11)のΩ1～Ω2。
(4)～(10)の「イェッツラー界」（シリウス・プレート）において、(4)のダートという実体はまだ未形成である。したがって、「イェッツラー界」の実体は、(5)～(10)のΩ1～Ω8。
(1)～(7)の「ベリアー界」（オリオン・プレート）において、(7)は既に対消滅しており、実体はないので、「ベリアー界」の実体は、(1)～(6)のΩ7～Ω14。
(1)～(4)の「アツィルト界」（ハイパーシリウス・プレート）において、(1)が生成途上であり、(1)より上次元は未創造であるが、これら創造領域こそ実体と呼べる。したがって、「アツィルト界」の実体は、(1)以上のΩ13～。
2008年9月3日 @ 11:19
>(10)と(11)は既に反転しているが、「人間」は気づいていない。このため、(7)～(11)の「アッシャー界」（プレアデス・プレート）において、「人間」は(10),(11)をかろうじて、(10)＝月、(11)＝地球として認識しているが、これは逆である（つまり、「人間」は(10),(11)しか見えておらず、しかも逆に見ている）。したがって、「アッシャー界」の実体は(10),(11)のΩ1～Ω2。
このへんの認識は共通しているようですね。
人間の内面の認識で地球を見ると、それは月となっている、ということですね。マルクトとはあくまでも光輝に照らされた地球のことであって、それが反転すれば、ルーリアのいうケリーム（殻）になってしまうということではないかと思います。人間は本来ψ3であるべきところをψ*4と見なしているので、この効果は大系全体に貫かれ、Ω1〜Ω2がΩ*2〜Ω*1となってしまっているということですね。こうした月の横暴をリリトのイメージに重ね合わせましたが、この偏映の原因は実のところ木星-土星由来のように思えます。
Ω7〜Ω8は真実の人間の次元に出るときΩ*1〜Ω*2へと凝縮化されますが、このとき、下次元にΩ2〜Ω1という捻れを伴います。Ω*7〜Ω*8側も同様です。この捻れの位置に影のようにして生み出されるのが人間という次元で、人間はどうしても偶数系を先手に持たざるを得ない仕組みがあるのだと思います。
観察子の位置は微妙に違うかもしれませんが、このΩ7〜Ω8→Ω*8〜Ω*7→Ω9〜Ω10あたりの変換性は超対称性変換に似ていませんか？Ω7をフェルミオン、Ω8をボゾンとすると、Ω*8〜Ω*7の加味は超対称性となり、さらに、もう一度、超対称性変換を施してΩ9〜Ω10に至る。Ω9が重力で、Ω8は平坦な時空に一括され、Ω10が時空の膨張（宇宙斥力）としてのドシッター群として凝縮化する。。。。。このへんは僕には全くお手上げなので、Φさんの吟味をお願いしたいところです。