第四の視線の到来

 会社のスタッフとして活躍してもらっている甥っ子のS君から面白いサイトを教えてもらった。
 ご存知の方も多いのだろうが、「google earth」というやつだ。この「google earth」、何と手軽にヴァーチャル世界旅行ができる。
Google Earth down load——http://earth.google.com/

 人工衛星から撮影した地上写真を球面状にマッピングして、凄まじい解像度で地上を俯瞰することができるのだ。それも料金無料。誰もがgoogle earthをダウンロードするだけで、世界中のどの地域の風景も楽しむことができる。それも、そのスピード感たるやすごい。クリック一つで降下/上昇、回転、左右移動、前後移動が思いのまま。まるで、UFOを操縦しているような気分にさせてくれる。まだご存知ない方は是非、遊んでみるといいだろう。

 ということで、わたしは昨日は、古代遺跡巡りをした。ナスカの地上絵、エジプトのピラミッド、イギリスのストーンヘンジ。。お〜、感動的、ちゃんと写ってる。。。どれどれ、わしの自宅は。。。げっ、見える。。それに駐車場の車まで。。。。。と無邪気に楽しんでたはいいが、途中から、ちょっと空恐ろしさがこみ上げてくる。。ここからヌース的なウンチクを少しばかり。。

 こうしたソフトがネット上で公開可能になるということは、軍事技術のレベルはその数百倍、いや数千倍も進んでいるに違いない。google earthは写真だからまだいいが、実際には人工衛星のネットワークによってリアルタイムで今の地球上のすべての情景がモニタリングされているのだろう。それも、もっと高い解像度で。。国家とこのシステムが結託すれば、プライバシーもへったくれもあったもんじゃない。赤外線カメラでも仕込まれたら、全世界の人間が今日一日、どこで何をしたかなんてことまですべて分かってしまう。いや、もうそういう技術さえ完成済みなのかもしれない。GPSと結合させれば個体の監視体制が完全化してしまう。軍事利用の後は警察権力にお下がりがくることだろう。

 さて、問題はこの視線だ。たとえバーチャルとは言え、今まで単に想像上のものだったC^4の視線が、一般大衆のもとに、これほどまであからさまに到来してきたこと。。無意識の進化はノエシス(観察軸)を絶えず新たなノエマ(被観察軸)へと変換していくことによって進んで行く。今まで虚数軸として作用していた宇宙空間からの視線をあたかも実軸へと換えてしまうようなこのgoogle earthの登場は第四の視線の活動開始を告げている。

 グローバル化を手放しで喜んでいる場合じゃない。デジタルの体制は、今、文化なんてレベルじゃなく、文明の在り方そのものを変えようとしているのだ。原始土地機械から専制君主機械の登場が第一次形而上革命だとすれば、専制君主機械から資本主義機械の登場は第二次形而上革命と呼べるものだったと思う。そして、今、世界に訪れようとしているのは、第三の形而上革命なのである。しかし、この第三の無意識の革命は確実に二つの道への分岐を持っているはずだ。一方は、鉛直に垂上し、かたや他方は鉛直に落下する。そういう感覚がひしひしと伝わってきてならない。とりあえず、視線の遷移を観察子番号に対応させておく。。

●第一の虚軸(ψ7)………現実の視線/主客一体(現実界の視線)
●第二の虚軸(ψ9)………一神教の視線/主客を分離させる視線(象徴界と想像界の視線)
●第三の虚軸(ψ11)………コギトの視線。神の視線を人間に同化させる視線(想像界に象徴界を生殖する視線)
●第四の虚軸(ψ13)………コギトを現実界へと導く視線、そして、その一方でコギトの境界を破壊し闇の現実界そのものに破棄する視線

巨人の目の次なる進化が始まっている。これからあらゆるもののボーターが破壊されていくだろう。コギトも例外ではない。心してかかるべし。