原子とは○○○である

 東京に3日間ほど出張。新著の企画内容書をN社の社長に見てもらう。一つ返事でOKを頂く。念願だった3色使用、ページ数の制限ナシ、というこちらサイドの一方的な要望にも快諾をいただき、次回作は予定通りヌース理論史上もっとも長大かつ重厚な書になりそうだ。

 単独での著作は何しろ7年ぶり。この間のヌース理論の進展は目覚ましいものがあった。それをどうコンパクトにまとめるかが今回の課題になるだろう。まぁ、「シリウス革命」のときほど欲張らずに、ヌース的思考方法というものを丹念にプロットしながらトランスフォーマー型ゲシュタルトの粗方を書き記していくことにしよう。

 今回の目玉は何と言っても、原子についての記述だろう。詳細な素粒子構造=無意識構造というステップを経て、ついに原子世界のヌース的有様へと論は進む。第二量子化が波動関数を再び粒子化するのと同じで、原子世界に入ると意識構造の視界も突然と明瞭なものとなる。。。トランスフォーマーにとって原子はどのようなものとして解釈されるのか——。一般には原子は物質を構成する基本要素と見なされているが、素粒子構造自体を人間の意識構造と見立てるヌース的世界観においては、原子もまた意識に関係する何物かへと激しく変身を遂げる。それは聞いてびっくりあわわわわ、驚天動地の内容となるはずだ。その意味、ヌースのトンデモ度が増す、という恐れもあるが、ロジックは通常の物理学ほど精緻ではないにしろ、それなりのロジックは紡いで行くつもりだ。たぶん、かなりエキサイティングな著述になるのではないかと予感している。

 ネタバレを覚悟して書くと、実は、原子とは○○○の物質的射影である。○○○抜きでは僕らの意識は世界を語り得ない。たとえばフッサールは意識の働きをノエシス(意識の指向性の側面)とノエマ(指向される対象的な側面)に分けて考えたが、この指向性や指向対象というイメージ自体にすでに、○○○が自動的に働いている。人間は言語がなければ思考できないが、と同時に、○○○なしでも思考することは不可能だ。言語は恣意的なものだが、○○○は理念的客観性を持つものであり、。その意味で、意識の成り立ちと○○○は言語以上に極めて深い関係にあると考えていい。

 こうした○○○を通して、原子世界の風景が見えてくると、世界の半分が神秘ではなくなってくる。生物はなぜ炭素体なのか。DNAはなぜあのような二重螺旋の構造を持っているのか。DNAとRNAの間で起っている複製活動の本質とは何なのか。コドンはなぜ64種類なのか。そこから生成されるアミノ酸はなぜ20種類なのか等、生命の生成の由来を物質的な説明で終始する科学的論説とは違って、ヌース理論はそこに全く違った角度からの説明を与えていくことになる。もちろん、その語りの在り方は、DNAのイメージを細胞核というミクロ空間の殻の中から解放し、現実のこのわたしたちの目の前にある空間に出現させていくことになるだろう。つまり、わたしたちはDNAの「中」を生きている、そういうイメージが形成されていくわけだ。

 DNAとは真実の太陽系………。細胞一つ一つにも惑星の諸力が及んでいる。やがて地球上に次々と出現してくることになるトランスフォーマーたちは、その力線の一本一本がつぶさに見える視力を兼ね備えていることだろう。宇宙は科学が考えているほど複雑ではない。