ヌーソロジーから見たハイデガー

ハイデガーは、通常の空間や時間よりも根源的であり、そこから通常の空間と時間が発現するものを〈時–空[Zeit-Raum]〉と呼んでいる。
〈時–空〉は瞬間場として生起の転回から生じる。その瞬間場はおよそ私たちが普通に考える特定の瞬間性のようなものではない。
これは、おそらく、物側に持続として意識の拠点を置いたときに現れてくる時空感覚である。このとき、光は外向きの光であることを辞め、内なる自然の光へと変わる。
下図で言えば、奥行きで形成された内なるマカバが自らの身を翻すようにして、外なるマカバを生み出し、光を内側から送り出すのである。
ハイデガー風に言うなら、「そこにおのれの現が空け開き、物を物自身のほうから現れてくるとおりに、物自身のほうから見ることができるようになる。」
従来の対象知はこの変動によってすべての意味を失う。このような意識変化のことを、ヌーソロジーでは思形と感性の顕在化と呼ぶ。