7月 3 2023
奥行きの空間に対して自覚的になること
「ポストモダン」という言葉は今や死語に近い。ヌーソロジーの文脈からすれば、現代がモダンから出れた試しは一度もなく、むしろデジタルモダンの到来によって近代の世界観・価値観はより増強されて行っているようにも見える。科学主義や資本主義がその根底から変容を起こさない限り、近代の終焉が訪れることはないだろう。
個人的には、デカルト以後に起こった主観と客観の逆転が近代的思考の駆動エンジンになっていると思っているので、この逆転した位置関係が是正されない限り、人間主体という驕りを持って稼働するこの「人類」という暴力装置が停止することはおそらくない。つまりは、人間が自然主体の世界へと帰還できたときにこそ、初めてそこにポストモダンと呼べる時代が訪れるということだ。
自然主体の世界に帰還すると言っても、別に近代以前に戻れと言ってるわけじゃない。全く別のあり方で人間を自然の内部へと差し戻して行くのが必要で、そのための絶対条件は「自然を精神化させること」だ。物質的自然は近代の産物であって、これは本来的ではない。この誤った概念を解体させない限り、自然主体のビジョンの到来など望むべくもない。
「今さら自然の精神化なんて、どうやって?」と思う人も多いかもしれないが、このビジョンを実現させるためには空間に対する観念をその根底から変革させる必要がある。空間自体を精神化させるのだ。空間を単なる自然物の容器のように見なすのではなく、自然を律動させている一つの崇高なる精神の様態としてみなすこと。
ヌーソロジーが「奥行き」と呼んで執拗にフィーチャーしているものも、空間に内在する、かような精神のことなのである。
「奥行きこそが自己の場である」ということに異論を挟む人はそれほど多くはないと思う。過去の哲学者たちが語ってきたように、そこは紛れもない”この私”が実存している場でもあるからだ。それぞれの人が固有の奥行きの中に自分を感じて生きている。その事実がまだ私たちにはうまく意識化されていない。
意識は脳の産物であるとか、いや霊魂に由来するのだとかいった応酬で、科学と宗教が不毛な論争を延々と続けているのも、物質と精神をつなぐこの「奥行き」に私たちがまだうまくアクセスすることができていないからにすぎない。奥行きにおいて空間は精神であり、それはまた物質でもあるのだ。
そのような新-感覚が空間に舞い降りてくれば、文字通り、近代は幕を閉じ、近代が作り出した「人間」という概念も世界から消え去って行くことだろう。
7月 7 2023
この7月からサロンで「ヌーソロジーで量子力学を攻略する」が始まります!
普通、物理学では観察者は自分と実験対象を区別し、自分を主観的な存在、対象を客観的な存在として認識する。一方、ヌーソロジーでは主観と客観の間の結びつきを重視し、両者を一つの連続的な現象として認識する。観察者自身が観察の一部となり、意識の形成を理解するための新しい視点を提供する。
「科学で意識を解明する」という表現に違和感を感じるのは僕だけだろうか。科学では、観察者がどのようにして物事を認識しているのかという、その超越論的プロセスが全く無視されている。観察者自身を認識の対象として含める視点が欠けているのだ。そんなアプローチで意識の解明などできるはずがない。
意識の知的解明においては意識のみならず、存在、そして物理的現象を統一的に説明できるアプローチが必要だ。言い換えるなら、観察者の存在(持続)と観察行為(奥行き)を外的なものに接続させ、物理現象と精神現象の分離が見かけ上のものでしかなかったことを示す方法が必要になるということだ。
ヌーソロジーはそのような方法で意識の知的解明にアプローチしている。ポイントは観測者の奥行き=持続(精神)=虚軸=射影。これらの仮定によって、外延空間と内包空間をスムーズに繋ぎ、量子構造を人間の超越論的無意識の構造として解釈していくことができてくる。
もちろん、こうしたアプローチが広く受け入れられるまでにはかなりの時間がかかるだろう。なぜなら、現代科学の主流である物質主義や還元主義からは大きく逸脱した考え方だからだ。しかし、すべてのものは変化していく。科学的認識はもちろんのこと、人間という概念さえ例外ではない。
常識からはみ出ることを恐れていては何も前には進まない。常識を破壊するために十分に有効な非常識を作り上げていくこと。空間に対する反転認識というのは、おそらく、そのための唯一のアプローチだろう。
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現時点でのヌーソロジーの量子解釈についての要点は以下の通りです:
1.内包と外延:ヌーソロジーでは、物質世界(外延)と精神世界(内包)の間には本質的な隔たりがないと考えます。これは、内包的な観察行為が自他の共同から外延的な現象を生成するという数学的要請に基づいています。
2.複素空間と観測:ヌーソロジーでは、複素平面上の単位円が観察者の観察空間(主観空間)を表現しています。そして、この空間の上半円と下半円は、自己と他者の観察位置をそれぞれプラスとマイナスに置くことで、外部と内部が反転する関係を生み出しています。
3.量子力学と意識:量子力学の現象を、意識的・超越論的な観察行為の結果として解釈することができます。具体的には、パウリ行列の性質やスピン1/2の特性など、量子力学の基本的な要素が、観察者の観察行為や主観的な空間構成の過程と深く関わっていると考えることができます。
4.存在論的解釈:これらすべての考察は、物理的現象と精神的現象を統一的に理解するための存在論的な解釈を提供してきます。これにより、観察者の存在と観察行為が科学的な理解の中心に位置づけられ、物理現象と精神現象の間の隔たりを解消していくことができます。
この7月から始まる「ヌーソロジーで量子力学を攻略する」シリーズでは、この辺りの内容を、物理学を知らない人でも分かるように懇切丁寧に、空間認識のあり方を同時並行で進めながら解説して行きたいと思っています。反転、確実に始まってますよ。この流れに乗らない手はないです(笑)
多くの人の参加をお待ちしています!!
ヌーソロジーサロン 7月スケジュール
By kohsen • 01_ヌーソロジー • 0 • Tags: 複素空間, 量子力学