4月 29 2005
OPUS(オプス)
友人の金大偉氏から昨日、「OPUS(オプス」)のvol.3が送られてきた。OPUSとは金氏が不定期刊で発刊しているアート系の雑誌である。「OPUS」はすべて金氏の人脈により自費出版で作られている。今回は金さんから直で原稿依頼を受け、7ページほどの小論を書いたのだった。題して「21世紀的バロキズム」。 OPUSとは元々、ギリシア語で「作業」の意だが、この「作業」とは当然のことながら、錬金術的作業のことを意味する。金氏自身は、映像、音楽、編集など何でもこなす多才なマルチアーティストで、現在も幅広い分野にわたって活躍している精力的な人物だ。何と言っても人柄と家柄がいい。おっと家柄は関係ないか。。。
今回の「OPUS」のテーマはなんでも空間ということ。空間なら半田さんに何か書いてもらわないと。。ということで私に原稿を依頼してきてくれた。ありがたいことに、わたしの稚拙な記事を、岡本敏子さん(故岡本太郎氏の娘さん)、鎌田東二さん(神道研究者)の冒頭対談のあと、あの浅葉克己さん(アートディレクター)の草稿に次いでトップ2に持ってきてくれている。。。。うーむ、こんなことなら、もっと、一般向けの記事にすればよかったかなぁ。。
この原稿依頼は去年の秋ぐらいに受けた。そこで、当時、考えていた「4次元世界眼球」についての解説調の長たらしい文章を書いてしまったのだ。ポイントは、空間のコンパクト化が主体空間の別名で、ノンコンパクト化が客体空間の別名である、ということが言いたかっただけなのだが、あひゃひゃのひゃ、こりゃ、浮いてるわ。。。。他の記事が分かりやすいものが多いので、このくらい難解な記事が入っていた方がいいのかもしれないが、数学記号などの誤植がかなり多いので、一般の人は読みづらいかもしれない。
しかし、この論考は現時点でのヌース理論の展開に対して重要な加速点になっている。モノ、自我、主体という関係が、4次元空間における直交性の中で規定されているのではないかということを初めて訴えった論稿だ。メビウス変換を明確にモデルに持ち込んだのもこの頃である。サイトで紹介しているNCの4D-typeは、この原稿を書いているときにしっかりと固まった。ヌース理論の現在を追いかけている人は是非、読んでいただきたい。
尚、この雑誌、小難しいことを書いているのは僕ぐらいのもので、あとはアーティストや音楽家、デザイナー、映画プロデューサーの方々の寄稿が多いので、結果的に、〈空間-アート-霊性〉を巡るエッセイ集のようなものになっている。金さんの編集も相変わらずうまい。価格が1.000円というのもちょっと安いかな。。。
いずれにしろ、本屋では見つからない雑誌です。入手希望者は直接、金さんのところへメールで注文して下さい。
金さんのメールアドレス
kintaii@m11.alpha-net.ne.jp
4月 30 2005
ウィンターボトム監督
連休ということで、DVDをたくさん借りてきた。さっそくマイケル・ウィンターボトム監督の「in this world」を鑑賞。
この映画、数年前、話題になっていた(ベルリン映画祭金熊賞受賞)のでタイトルだけは知っていたが、なかなかよい映画だった。テーマは自由への逃走。舞台はアフガン。今はほとんどの人が忘れ去ってしまっているあの「タリバン」のアフガンである。
この映画を観て再度、思い出させられたが、アフガンってほんまに可哀想な国である。80年代はソビエトに無茶苦茶にされ、その結果、あのタリバンが台頭。今度はアメリカがしゃしゃり出てきてタリバンを蹴散らしたはいいものの、あとは知らん顔。結果、国状は20年前とは比べ物にならないほど荒廃し、困窮し、今や難民だらけの国になってしまった。映画はそんなアフガンの一地方の村から将来を夢見てロンドンに渡ろうとする少年とその従兄弟の決死の道中記を描いたものだ。当然、難民のロンドン行きであるから、国費留学とかワーキングホリデービザなどといった悠長な話であるはずがない。不法移民の命がけの逃避行である。アフガニスタンからパキスタン、バキスタンからイラン、トルコ、イタリアと一種のロードムービーのスタイルで話は進んで行くのだが、とにかくドキュメンタリータッチの撮影手法がうまい。おそらく、ほとんど手持ちの8mmビデオカメラで撮っているのだろう。それらをあとで巧みにデジタル処理して、独特のfact感、リアル感を演出している。特にイランからトルコへ冬山を越境する場面の赤外線撮影の映像には思わず息を飲んだ。
ちなみにこの映画の主役を演じている少年ジャマールくんと従兄弟役のエナヤトゥーラくんは、実際にともに難民キャンプで育った人たちらしい。というか、出演者のほとんどが素人ではないだろうか。。とにかく、実写もののドキュメンタリーを観てるようなリアルさだった。アフガンの窮状をとことん思い出させてくれただけでも★★★★の作品。みんなも忘れ去られてしまった、中村さんのペシャワール会に寄付しよう。中村さんは博多の人なのだ。
By kohsen • 09_映画・テレビ • 0