11月 9 2023
真の主体を取り戻すとはどういうことか
Twitterでも何度も紹介しているヌーソロジーの基本概念でもある人間の内面と外面という空間の区別。これは、私たちの外在・内在感覚が生まれている場所を空間知覚の在り方を通してクリアにするための重要な図式です(下図参照)。
二つの場所の違いに気づいた人は、自分がどちらの空間イメージで日頃生活しているかを確認してみるといい思います。
おそらくほとんどの人たちが「人間の内面」をベースにして物事を捉えているのではないかと思います。実際、今の社会の常識自体が圧倒的に人間の内面の方が先手をとって組織化されています。科学的世界観などはその典型です。
しかし、少し考えればすぐに分かることですが、自分が実際に生きている空間は人間の外面側です。思い出すのは難しいかもしれませんが、自分が生まれて最初に先手としてあった世界も人間の外面側です。
ヌーソロジーが、本当の主体は人間の外面に位置していると言ってるのも、そうした経験的事実を踏まえてのことです。人間の内面は、主体が他者視点から世界を見たときに初めて構成されてくるもので、本来は後手なのです。
つまり、人間の意識においては人間の内面と外面の先手後手関係が転倒してしまっている。人間の外面がなければ、人間の内面など存在のしようがありません。まずは、このボタンの掛け違いを是正することです。
何度も言いますが、この人間の内面と外面はまったく違った空間なので、その変更だけでも、世界に対する感受性が大きく変わってきます。
11月 14 2023
AIは決して人間のようにはなれない
意識が人間の内面から人間の外面へと直接アクセスすることはできません。そのいい例がLLMの世界でよく囁かれているシンボルグランディング問題に象徴されています。
人間の内面は言語空間でもあると思ってください。言語は意味を伴って初めて機能するものです。
例えば「赤くて丸いリンゴ」という言葉(音声)は人間の内面で構成されます。しかし、人間の内面にはその意味は存在していません。それらは単なる記号の配列です。言葉の意味は外面において初めて生成されてきます。
どういうことかと言うと、知覚(人間の外面)→言語(人間の内面)→意味(人間の外面)という順番で私たちの表象は初めて活動し始めるということです。表象がre-presentation(再現前化)と言われるのも、このように、言葉が最初の知覚にアクセスすることによって初めてそこに意味が生まれてくるからです。
言語だけで構成されているLLMにはこのre-presentationする力がありません。例え、画像認識を併せ持ったとしても、コンピュータは画像を電気信号に変換して認識しているだけですから、そこには人間の外面は存在していません。
人間の外面が存在しないということは、AIは決して人間のようにはなれないということです。
By kohsen • 01_ヌーソロジー • 0