11月 11 2005
エターナル・サンシャイン
またまたやってくれました、チャーリー・カウフマン。あなたは近来まれに見る天才!!「マルコビッチの穴」でハマって、「アダプテーション」「ヒューマンネイチャー」で爆笑!!大のカウフマン・ファンになったにもかかわらず、この「エターナル・サンシャイン」はロードショーで見逃していたのです。レンタル屋に出るのを待っていましたが、今日、ようやくゲット。期待度120%で見ちゃいました。
やはり、すごい!!の一言。このカウフマンという人,一体どういう頭の構造をしているのやら。完全に4次元からモノを見てるとしか思えないくらいブッ飛んでいます。きちゃっています。と言って、難解な眠気を誘うような映画になるわけでなく、反対に、涙と笑いとペーソスを、信じられないくらいのセンスの良さで忍び込ませる。これはもう才能としかいいようがありません。欲しいなぁこのセンス、この感覚。ハリウッドはもうカウフマン一人だけで十分ですね。はい。
主演はジム・キャリーとケイト・ウィンスレッドといった、ちとキャラが濃ゆい二人なんだけど、作品が完全に二人を食っています。と言って、二人の演技がまずいわけじゃないですよ。反対に、ひょっとしてこの二人、この作品が今まで一番いいんじゃないかと思わせるほどいい演技をしています。楽曲がよければどんなアーティストもカッコよく見えるのと同じで、作品が素晴らしいので俳優陣もまた素晴らしく見えるということなのかな。「マルコビッチの穴」のジョン・キューザックとキャメロン・ディアスが演じたとしてもこの作品の質は何も変わらないんじゃないかと思います。それくらい、作品自体の完成度が高いですね。同じ記憶変更もののストーリーとして一昨日鑑賞した「バタフライ-エフェクト」が一瞬のうちに「バタクサイ-エフェクト」になってしまいました、やっぱ、それくらい、この作品のアイデア構成や脚本、演出は素晴らしかったです。エンディングの曲。これってBeckなんですね。いい曲です。あと、予告編スポットで昔懐かしのELOの「Mr・Blue」が流れていたのですが、劇中には出て来なかったような。。どういうことでしょ?
別にヌース理論と関係があるわけでは全くないのだけど、チャーリー・カウフマン、まだ見たことのない人は必ず見ましょう。まず、入門として「マルコビッチの穴」で大笑いして、「アダプテーション」と「ヒューマンネイチャー」で頭を掻きむしって下さい、そして最後は「エターナル・サンシャイン」でじわんとする。一日で立て続けに4本見れば、あなたの映画観が変わるかも。いや、変わる。
うーむ、それにしも一度DVDを借り出すと、返すたびに借りるという反復が始まるなぁ。。どっかで止めないと。。
11月 12 2005
Dr.ブネウマ
今日は久々にパワーある人物と会った。福岡市内でクリニックを開業しているお医者さんなのだが、患者さんに勧められて読んだ「シリウス革命」にあまりの衝撃を受けたということで、ここ2週間ほど前から熱心なファンレターと一緒にご自身の著作数冊を数回に渡って贈呈してもらっていた。是非一度お会いしましょう、ということになって、今日、市内の某ホテルで夕食をともにした。
この先生、経歴がとてもユニークで、法学部を卒業した後、医学部へ行き、その後、ロンドンやニューヨークに留学し、日本に戻って大学病院に勤め、その後、1985年に福岡市内でクリニックを開いたという。クリニック自体は皮膚科なのだが、実際は、全国からガン患者さんばかりが訪れる「ガン治療」専門のドクターだった。おそらくその分野で相当に有名な先生なのだろう。著書は40万部売れたという。「どんな末期の患者さんでも9割は治るんだよ。実際にわたしは今まで5000人を治してきた。」と力強い口調でおっしゃっていた。
霊的な世界に興味を持ってからまだ日は浅いとおっしゃられていたが、いやいや、その読書量はハンパじゃない。カント、ヘーゲルなどの哲学ものに始まって、E・スウェデンボルグやR・シュタイナーといった霊的世界もの、さらにはD・ボームやR・ペンローズなどの意識物理もの、その他、文学、芸術など、実に幅広いジャンルの知識がある上に、存在自体が反骨精神のかたまりのような人なのだ。もちろん、彼にとってレジスタンスを行うべき勢力とは、産-官-学の癒着が最も強いと言われているあの医学界である。現代医学のガン治療の背後にある様々な欺瞞について鋭い発言が次々に飛び出す。実際にどれだけ見捨てらている患者がいるか、切って飲ませて焼くことしか能がない医者の無能さ、金と出世しか頭にない魑魅魍魎ども(とそこまでは言わなかったが)、この先生、本当にお医者さん?と思うほど、容赦ない現場批判が次々に飛び出す。そのあまりの過激さと痛快さに、久々に腹の底からゲラゲラと大声を上げて笑わせていただいた。お年は60歳、見た目はかなりインテリっぽい容貌なのだが、スピリットはまさにパンクロッカー、ほんと強烈である。気に入った!!
何でもわたしと会うというので、この1週間というもの「シリウス革命」を再度5回通読されたらしい。もちろん、全部を理解ができたわけではないが、その思考の切り口に今までの読書体験にはなかった衝撃を受けたという。わたしが「ほー、そんなもんですか。」と自分としては、年少者でもあるし何事も謙虚さが大事、というつもりでニコニコして遠慮がちにうなづいていると、いきなり、「半田さん、もっとガツンといかないとダメ。こんなすごい理論は他にはないんだから、もっと爆発しないと。わたしはこんなに興奮してるのよ。」といきなりのダメ出し。わたしの場合、パワーがないと言われてしまうと、ムッときて、いきなりNCターボのスイッチを押してしまうクセがあるので、あとは、もう二人で爆発しまくり。久々にスケールの大きな楽しい夜となった。
実に痛快な先生である。この先生は創造的な思想には精確さよりも狂気が必要であるということを十分に分かっていらっしゃる。新しいものを生み出して行くためには、評論家のように意識がこじんまりまとまってしまってはダメなのだ。野武士のように荒々しいギラギラとした精力を持たなくてはならない。人の心に訴えるのはそうしたエネルギーである。ここ1〜2年、レクチャーを休んでからというもの、どちらかという自分自身の内部に入り込む時間が多すぎたのかもしれない。人は内に入ると深部に分け入っているつもりでも、実は、同じ浅瀬を堂々めぐりしていることが多い。大切なのは、やはり、いろいろ毛色の違った人たちと顔と顔を合わせ語り合い、互いを高め合って行くことだ。知識との出会いも確かに重要だが、人との出会いはリスクが大きい分、逆に生(なま)の熱を帯びた情動と出会うことができる。百の冷めた知識よりも、一の熱い情動。生きる魂の糧としては、その方がはるかに重要だろう。自分の原点を再度、思い知らされた気分である。新しい本を書く上で、多いに収穫がある出会いとなった。H先生、わしも負けんよ。世界を変えませう、べらぼうめ!!
By kohsen • 10_その他 • 0 • Tags: カント