5月 19 2006
地球、月、太陽
ヌース理論の文脈に従えば、月は眠れる太陽である。つまり、潜在化における精神という言い方ができる。月は人間の無意識の活動をすべて司り、個体の眠れる14の観察子を他者側の同じく14の観察子領域と交差させ、自他間の意識の間の調整をはかっている。
この周期が顕著に現れているのが月の公転・自転周期である。
地球上で暮らしているわたしたちからは、月が決して裏を見せないことは皆さんもよくご存知のことだろう。つまり、月の自転と公転比が寸分の違いもなく1:1であるために、月は絶えず地球に対し同じ面を向けているのだ。天体物理の世界では、こうした現象を軌道共鳴と呼ぶが、軌道共鳴の物理学的なメカニズムは未だ明らかにはされていない。
ヌースではこうした月の運動に全く違った答えを用意することになる。すなわち、月は地球を見るために作られた天体なのである、と。といって、これは地球を監視するためのUFOの基地が月面にあるとかいった類いの話ではないので、くれぐれも勘違いのないように。つまり、月とはすべての人間の肉体を統括する力の物質的顕現と考えられるということだ。となれば、当然、客体側を統括する力が地球ということになる。つまり、地球と月とは、潜在化における客体と主体という対化関係を表すイデアと深い関係を持っているのだ。
ちょっとした実験をやってみよう。「光の箱舟」にも書いた内容だが、今、モノを見つめながら、その周りをグルグルと廻ってみるといい。そのとき、肉体自身はモノの周りを一回廻りながら、同時に一回自転しなければならないことがわかる。このときのモノに対する肉体の運動が、地球に対する月の動きのメタファーとなっていることはすぐにわかる。
このメタファーで太陽は何に相当するかといえば、肉体の自転・公転に伴って刻々と姿を変えていく背景空間となるだろう。モノは背景空間があってこそ、その存在を指し示すことができるが、モノと背景空間の間に割って入って両者の間を調停しているのが、人間が肉体と見ているものの本質的な役割なのだ。ヌース的にいえば、魂が肉体から解放されるということは、月が太陽に変態を起こすこと、すなわち背景空間(視野空間)に自分自身の位置を見いだすことに他ならない。これが「位置の等化」の最もシンプルなビジョンにあたる。
「光の箱舟」では、こうした観測者の自転・公転の同期が、スピノールが持つスピン1/2と関係があるのではないかと示唆した。今では、当時よりもはっきりとその関係がわかるようになってきた。まさに、スピノールの正体とは視野空間上における対象中心とその背後にある無限遠点を結ぶ線にあるようだ。この線は3次元における0点と無限遠点を結ぶ線であるから当然、4次元の方向を持つ線分である。つまり、知覚正面上の奥行き方向には3次元方向のみならず、4次元方向も重畳しており、視野空間上には4次元空間も同居しているのである。モノ一個に対する個体からの認識はSO(3)を構成しているが、モノの背景が回転することによって生まれている天球面の認識はSU(2)によって生じている。そして、このSU(2)球面は自他の観察関係によってさらに表裏が捻られ、CP^3というツイスター空間を構成している。それが、目下のところヌース的思考によって目撃されている世界の情景だ。空間は襞化してその花弁を多層に折り重ねていっているのだ。
OCOT情報に次のような謎めいた言葉がある。
「地球が1回廻る間に月は2回転します。」
通常の天体法則で考えれば、地球が1自転する間に月は自転を取ろうが公転を取ろうが約1/28回転しかしていない。つまり、このOCOT情報は単なる物理的な天体法則を語っているのではなく、より本質的な回転、つまり、意識の等化運動について語っているのである。どういうことか——。
例によって、モノを挟んで対峙する自己と他者をイメージしてみよう。そして、今、両者が絶えずモノが見えるように、同じ速度で、モノの周囲を廻り始めたとする。とすると、二人から見た0点と無限遠点(視野空間)の関係は、SU(2)における1と-1という元に対応させることができる。これらの1と-1を同一視すると、残るのは対象の自転運動だけになる。つまり、これはSO(3)の範疇(部分群)だ。このへんの事情は数学的にはSU(2)/[1,-1]〜SO(3)(〜は位相同型)と表現される。
これによってOCOTの言葉のナゾがナゾではなくなってくることが分かる。つまり、モノを地球、肉体を月を考えたとき、OCOTがここで言っている「月が2回転する」というのは、自他の肉体側の回転のことを指していると考えられるわけだ。それは、モノが客観として認識されるためには、SU(2)の表裏が等化されなければならないことを意味している。NCの真ん中に何気に位置していた球空間とは、まさに、ツイスター空間だったのである。
このように、地球-月間の運動と、人間の空間認識の関係をホモロジカル(モノと自他はψ7で統合され、地球-月はψ13で統合されている。両者にはモノ一個かモノの全体かの違いがある)に思考する方法論で生まれてくると、新月や満月といった天体現象にも意識的な意味を通した霊的解釈が可能になってくる。ここでは、それは占星学が持った知識にきわめて酷似している、ということだけ言っておこう。新しい神秘学の誕生がすぐそこまで来ている。
5月 21 2006
4次元空間における回転
ヌースが地球の自転や月の公転の本質的意味を考えるに当たって、どうしてもイメージを練り上げなければならないのが4次元の回転である。4次元の回転には、物理学的にはローレンツ変換というのがあるが、これはヌース的には4次元回転の内面的表現であり、いわゆる異なる速度で運動している観測者同士における時空座標の相互変換性のことをいう。内面では4次元が時間として働いているために、この回転は極めてイメージ化がしにくい。皆さんも相対論関係の啓蒙書に何度となくトライして頭を掻きむしった経験があるだろう。わたしも同類だ。そこでおきる空間や時間の収縮や伸張という概念に未だにしっくりするイメージがつかめないでいる。
ヌースが求めているイメージは外面知覚における4次元の回転である。だから時間は全く関係がない。というのも人間の外面においては、「今=永遠」しか存在しないからだ。「今」の中に過去や未来のすべてがある。過去や未来はつねに今というところから広がる情景にすぎない。「今」と点時刻ゼロとは全くべつものである。過去や未来に想いを馳せることができる実在としての「今」は、ある意味、光速度状態と呼んでいいのだ。そこで内面の時間は経過しない。そうした「今」を空間としてイメージしたものが視野空間そのものとしての0と無限遠の等化というものだと思っていただければいい。百万光年先の星の光は「今、ここで」輝いているのである。
さて、4次元空間上の回転を類推していくためには、2次元回転と3次元回転の関係をまず見て、その関係性をスライドさせるようにして、3次元回転と4次元回転の関係を見るようにするといい。
たとえば、3次元空間には直交する平面が三枚あることはすぐに分かるだろう。よって、そこには直交する3組の2次元回転が存在することになる。これらがいつも言っているSO(3)という群だ。これをスライドさせて考えると、4次元空間においては、直交する3次元空間が4組存在することになり、そこから、互いに直交する4組の3次元回転が存在すると考えられる。わたしが前回話した、
1、モノの3次元回転
2、わたしの同期した自転と公転によって得られるモノの背景の3次元回転
3、自他間における視座の変換に起こると想像されるモノの背景の3次元回転
これら3つが、その四つの中の三つの3次元回転に当たるのではないかと考えている。スピノールが意味するのはおそらく三番目の回転である。では第四の3次元回転とは何か——おそらく、これは最初に示したモノの3次元回転と重なり合っているのではないかと思う(ヌースが「凝縮化」と呼ぶものだ)。というのも、そもそも3次元回転という認識自体が、3次元の客観空間を前提としており、そこから放たれる一つの方向性が「見るということ(表相)」を形成しているからだ。つまり、僕ら人間の世界認識のシステムは、最初に客観世界があり、そこから個別のSO(3)を感受し、つづいて、個別の個体空間を形成し、そして、それらが等化されたトランスパーソナルな空間を形成していくような仕組みになっているわけだ。そして、トランスパーソナル(超個的)な空間が構成されたところで、再び最初に戻り、人間の個体に再び「見る」という空間(表相)を提供してくる。4次元が見えてくると、こうした〈主観-客観〉認識のループシステムがあることが分かってくる。実のところ、これが次元観察子ψ1→3→5→7という四つの意識器官が意味する真の内容なのだ。
そう考えてくると、4次元回転SO(4)(SU(2)と同じもの)とは、個体の前に3次元世界が現象化してくるために必要な絶対的な前提要素と考えられる。ヌースが最初にSU(2)対称性ありき、と豪語するのも、このような理由によると考えてほしい。その意味でSO(4)対称性とは、哲学の言葉でいうモノ自体(超越的客観性)を規定するための最低限の必要条件とも言える。
さて、こうしたややこしい空間構造の認識プロセスがなぜ地球や月の回転運動と関係を持っていると言えるのだろうか。新著では、話はそこから、宇宙空間が水素とヘリウムに満たされている理由や、地表が窒素と酸素で覆われている理由、それから、地殻がアルミとケイ素で構成されている本当の理由について及んでいくことになる。それらが世界を見ている僕ら人間と決して無関係に配置されているわけではないことが皆にも分かってくるはずだ。ほんまか?
By kohsen • 01_ヌーソロジー • 6 • Tags: 内面と外面, 地球の自転, 無限遠, 表相