12月 3 2013
三倍偉大なヘルメス
トーラスさんの研究発表を聞いて、そろそろヌーソロジーも太陽系に潜むヌース(創造的知性)の運動秩序についてツッコミを入れて行く時期が来たのなぁ、と思っている。現代科学が説くような時空に浮かぶ単なる土塊やガス球としての天体ではなく、持続構造体=霊的構造体としての太陽系。その探索のためのカギがトーラスさんの研究には網羅されている。。というかまさに宝の山だ。
僕らの次元観は1次元=線、2次元=面、3次元=立体といったように、直線をベースに組み立てられている。時間を入れたところで事情は同じ。それは3次元に直交する「線」のイメージにすぎない。これはドゥルーズがいうところの空虚な時間の形式をベースにした空虚な空間の形式でもある。つまり、こうした概念の中にはほんとうの意味での差異=次元はない。
ドゥルーズも直観していたが、こうした物理学が持った「空虚な空間と時間の形式」とは、本当の次元認識を人類に用意するための前準備のようなものとして出現してきている。カタチで言えば、それは正八面体とそれに外接する正六面体の関係だ。この二つのカタチには僕らが3次元と4次元と呼ぶもののイデアがセットされている。
このカタチは下図に示したように無限に内接・外接関係をくり返して行くが、ここに外接球や内接球を入れ込んで「層=sphere」として出現してくるものがOCOT情報が伝えてきた真の意味での「次元」である。素粒子も、原子も、そして太陽系も、この「層=sphere」の形成と深く関係している。
この「層=sphere」の認識を浮上させるために絶対不可欠なものが「反転」である。反転はユークリッド的には4次元時空(非ユークリッド空間)と4次元空間(ユークリッド空間)の差異を作り出し、さらに、それらを双対化させる視点を与えてくる。この双対化が数学的には複素空間と深く関係している。そして、そこに登場してくるカタチがメルカバー、すなわち双対の正四面体である(数学的には四元数空間との関係が臭う)。
この4次元方向の外接・内接への発展構造は1 :√3 : 3 : 3√3 : 9といったように√3をイデア比として持っているのだが、これはSFチックに言えば、例の「2001:宇宙の旅」に登場するモノリスに秘められた聖比率であり、オカルト的に言えば「ヘルメストリスメギストス(三重に偉大なヘルメス)」の世界の開示でもある。
月に隠されていた無意識のハルモニアは木星によって一つの交響楽として奏でられてくるだろう。そのとき僕たち一人一人の内在の中に新しい太陽が出現してくる。
トーラスさんのレクチャーではカバラの「生命の樹」のセフィロトと太陽系の諸天体とのヌース的対比が久々に顔をのぞかせていた。
ヌーソロジーとカバリズムの関係に関する僕の所感は以下のところに掲載しています。少し長いですが興味のある方ご一読を。
12月 6 2013
ドゴンの宇宙哲学『青い狐』
11月のレクチャーは冒頭でドゴンの宇宙哲学の話をしようと思っている。ドゴンの神話を専門に分析しようとしている研究者はおそらく皆無だと思うが、M・グリオールとJ・ディテルランが著したこの『青い狐』は構造主義が注目を浴びつつあった1960代のフランス思想界に一大センセーションを巻き起こし、あのドゥルーズ=ガタリも『アンチオイディプス』で結構詳しく触れている。僕がこの書物を手にしたのは1990年代の半ばぐらいだったのだが、初めて読んだときは体中に激震が走った。
ドゴンの神話体系はあまりに詳細というか、複雑すぎて頭では全く理解ができないのだが、そこで語られていく一つ一つの素朴な表現に細胞という細胞がブチブチと音を立てて反応する感じなのだ。当時、解読し始めていたOCOT情報と被るところが数えきれないほどたくさんあり、僕の中でシリウスに対する思い入れがより一層強くなった要因にもなっている。
次回、レクチャーで取り上げるということもあって、再度、読み返し始めたが、現行のヌーソロジーをベースして読むと、以前よりもより神話の語る意味の豊穣さがよく見える。この本が絶版になっているのは本当に残念だ。世界の数ある神話がその時代時代の権力者にいじられ変質を余儀なくされる中において、このドゴンの神話はおそらく人間の手によって汚されていない最も無垢なる神話ではないかと思う。その無垢さゆえに難解なものとなっているのではあるが。
昨今、スピリチュアル界隈で話題になっているシリウス星。伝統的オカルティズムでもシリウスはイシスやピラミッドとの関連で極めて重要な存在とされているが、願わくば、この『青い狐』に記されているような原形質感覚の中でシリウスについて夢想してほしいものである。
By kohsen • 01_ヌーソロジー, 06_書籍・雑誌 • 1 • Tags: ドゥルーズ, ドゴン, 形質, 青い狐