4月 3 2017
見つめているものと見つめられているものの一致とは何を意味するのか
ヌーソロジーでは、電子とは「人間の意識の定質」という訳の分からない表現をいつもしているわけですが、これは別の言い方をすると「人間の意識に表相を与えている力」という意味です。「表相」という言葉もヌース用語ですが、これは「一つの対象の見え」のことですね。視覚表象のことです。
僕らは普通、世界をイメージするときに必ずこの表相を使っています。原子であれ、分子であれ、DNAであれ、細胞であれ、鉱物であれ、植物、動物であれ、人間であれ、また、地球、月、太陽、太陽系、銀河系、銀河団等であれ、ミクロからマクロにわたる物質的構成物の視像はすべて、この表相という次元の中に与えられたものです。
ここに、意識における最もミクロな次元があります。
「意識とは何か」と、この「表相」という言葉を使って表現するなら、それはありとあらゆる表相をつなぎ合わせて総合化し、そこに観念の連合を作っていくものという言い方になるでしょう。そして、この連合のためになくてはならない不可欠な基礎がいつも言っている純粋持続の働きなんですね。
純粋持続が作り上げていく観念の連合化の運動にはある一つの秩序が存在しています。この秩序化を行っていくものがヌーソロジーが「精神」と呼ぶものです。精神と言っても、それは宗教にいう「神」などといった漠然とした観念ではありません。ヌーソロジーでは、それは対化を等化する働き、対称性を拡大していく働き、として明確に定義されます。
この「等化」は時間と空間の世界においては「回転」として表現されていますが、回転と言っても単に3次元空間内部の回転だけではなく、持続空間を複素空間と重ね合わせることによって、この回転は複素空間次元の回転にまで拡張されていきます。
こちらの書き込みでも、よくU(1)とか、SU(2)とか、SU(3)とかいった記号を見かけると思いますが、この記号群がその複素空間次元での回転を意味しています。()内の序数は複素空間の次元数です。
物理学の標準理論では、現在、物質粒子のクォークとレプトンを統一する大統一理論というのが、これらを掛け合わせたSU(5)=複素5次元の回転対称性の中で記述されています。
物質粒子が持ったスピンとは、ヌーソロジーの解釈ではすべて「見ること」と関係を持っています。見ること-見られること-見られることを見ること・・・。見ることと一口に言っても、意識の中では、この見ることが、他者の見ることとの関係の中で複雑に入り混じっています。
よく、「見るものと見られるものの一致」といったような表現を神秘学や哲学の中で見かけますが、先程言った「表相」という概念を考慮してこの言葉の意味を考えていくと、見るものと見られるものの一致を見るまでには相当な次元的距離があります。
見るものと見られるものの一致に限って言えば、こうした感覚は物をじっと見つめているだけで誰にでも湧き上がってくるものですが、そこで「わたしは世界だ!!」と叫んでみたところで、そこから何が始まるわけでもありません。
まだ誰もこんなことは言っていませんが、実は素粒子が持った対称性構造というのは、実はこの「見るものと見られるものが一致する世界の中の精密な地図」になっているのです。言ってみれば、表相に始まり表相に終わる、わたしたちの精神の現実とでも言えばいいのでしょうか。それが組織化されている世界です。
見られているものとは裏を返せば、見せているもののことでもあるのですから、見るものと見られているものとが一致を見るためには、見るものが見せているものまでに到達しなければ、この一致を達成することはできません。
この一致が物理学がクォークとレプトンの統合と呼んでいるものの本質的意味だろう、とヌーソロジーでは考えています。さっき言ったSU(5)のことですね。
そして、その統合体の中に、人間が自我と呼んでいるものの起源があります。ヌーソロジーが素粒子構造とは人間の無意識構造と呼んでいるのもそういう理由からです。
表相に始まり表相に終わる表象化のシステム。見つめているものから、見つめられているものを見つめさせるまでに至る、持続空間の織りなす組紐。そのカタチはまだ持続空間の中に沈んだままですが、おそらく、もうまもなく、多くの人たちがその全貌を旋回する知性の力によって一つの連続体として体験していくことが可能になってくるのではないかと思っています。
11月 1 2017
フォニオの芽吹き
言葉は存在の住処だと言うハイデガー。すごく抵抗がある。むしろ、言葉は仄暗い土の中で目覚めを待つ種子のようなものとして考えたい。そういうイメージの方がしっくりくる。
今は薄暗い所で活動しているが、言葉もやがて目を開き、生成の大地に文字通り芽を出してくる。
そして、種子が大気の存在を初めて知る日、すべての言葉も双葉に割れる。
【フォニオ】とは——
ドゴン神話においては「種子」の意味を持つ。フォニオは七段階の振動を作りながら自らの内部で螺旋状に成長していく。この七段階の振動を発展させていくのは種子の生命の本質とされることばの活動である。ことばの力によって種子がその内部で成長を遂げていく。十分に種子が育つと、そこからこの種子は螺旋状の旋回の方向を反転させフォニオを双子化させて世界を開いていくとされる。ここに基本となる「7×2=14」という数が生まれるる。「14」はドゴン神話においては極めて重要な数である。
By kohsen • 01_ヌーソロジー • 0 • Tags: ドゴン, ヌース用語, ハイデガー, フォニオ