7月 12 2017
『シュタイナー思想とヌーソロジー ——物質と精神をつなぐ思考を求めて』の目次紹介
編集者の江口氏から、Amazonでは目次、スタッフの紹介等がなされていないので、それらも紹介してほしいという旨のメールがありました。
一体、どんな内容が書かれているのか、知りたい人もいると思うので、この本の全貌をここで紹介しておきます。
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「人間とは何か?」「人類はこれからどこへ向かおうとしているのか?」
人類社会が、20世紀以降の科学発達を通じて既に物質世界の背後にある高次世界、霊の世界に足を踏み入れているとするなら、その高次世界を正しく理解することなしには、人類は進むべき道を誤るのではないか。 — 序文より
20世紀初頭「新しい霊性の時代」の到来を告げたシュタイナー思想と、日本から生まれた最先鋭の空間論ヌーソロジー、そして現代の生命科学が邂逅し、誕生した21世紀の宇宙生成論。
ルドルフ・シュタイナーが予見した霊性なき世界における人類の危機と、その突破口は何か?
ヌーソロジーの空間認識は私たちの世界観をどのように変えるのか? 私たちはいま何をしなければならないのか?
第1部 物質と精神をつなぐ思考を求めて
▪️「シュタイナーの世界観と人類の未来」 福田秀樹
1. 現代文明とシュタイナー
・現代文明の根本問題
・空海とシュタイナー
・現代科学の認識方法~素朴実在論の限界
2. シュタイナーの宇宙観
・シュタイナーの宇宙論の骨格
・空間的宇宙論~高次宇宙の基本構造
・高次宇宙の基本構造
・高次宇宙の投影による宇宙構造
・人間と高次宇宙の関係
・時間的宇宙論~太陽系の輪廻と地球紀進化
・太陽系の輪廻
・地球紀の進化過程
・時間概念の変更
3. シュタイナーの歴史観~人類進化と自我形成
・ポストアトランティス期の人類の課題 ~真の自我性の形成と三つの課題
・真の自我性とは何か~自他あわせ持つ真の自我性
・キリスト事件とキリスト衝動
・現代文明の形成と自我問題
・文明の転換点
4. 霊性への回帰
・意識魂の時代の人類の課題~真の自我性の形成と霊的文明への移行
・霊的認識力の形成 行法~霊的認識力の形成方法
・霊的認識力の形成過程~意識の持続性、三力分裂、自己との遭遇
5. 新しい霊性の展望(1)~シュタイナー思想とヌーソロジー
・シュタイナー思想とヌーソロジー
・地球紀における人間の意識進化~対象意識の形成
・霊的な対象意識の特徴~外在性と内在性の両立
・霊的対象意識の形成の準備~物質世界の対象意識形成の仕組み
・ヌーソロジーの視点~物質と霊性
・素粒子
・原子と人間の意識形成
・霊視・霊聴の準備~宇宙文字としての原子
・自我形成の長期周期~三千年紀問
・真の自我性と輪廻問題
6. 新しい霊性の展望(2)~霊性の統合
・宇宙創造の叡智~三つのロゴスとキリスト衝動
・原初の創造と真の自我性~自他性の起源
・霊性の統合 霊性の統合はどのように進むのか
・人間の輪廻・受胎過程と霊性の統合 ・現代科学の臨界点
7. シュタイナー思想と人類の未来
・シュタイナー思想とその思想体系
・三千年紀問題と人類の未来
・人類の宇宙的使命
▪️「現代生命科学とシュタイナーの死生観」 大野 章
1. 生物進化に見る死の誕生
・始原細胞誕生から細菌世界への進化
・細菌世界から多様性世界へのジャンプ
・ダーウィン進化論の独り歩き
・死の誕生への軌跡
・クローン羊と染色体構造
・テロメア配列と死の宿命
2. 死の誕生の謎 シュタイナー思想から観る宇宙惑星創造と人間創造進化の世界 ・人体と宇宙
・人間創造の起源 -土星紀-
・生命の誕生 -土星紀から太陽紀へ-
・感情の発生 ―太陽紀から月紀へ
・自我の付与 ―月紀から地球紀へ―
3. 人間の進化の経過について
≪第一根幹人類期ポラール時代・第二根幹人類期ヒュペルボレアス時代≫
≪第三根幹人類期レムリア時代≫
≪第四根幹人類期 (前アトランティス時代の進化の概要)≫
≪第四根幹人類期 (前アトランティス時代の亜人種たち)≫
-レムリア人から蒙古人・セム人へ、自由意志への啓発-
1) 前アトランティス時代:第一亜人類ルモアハルス人
2) 前アトランティス時代:第二亜人類トラヴァトリ人
3) 前アトランティス時代:第三亜人類トルテケン人
4) 前アトランティス時代:第四亜人類原テゥラニア人、第五亜人類原セム人
5) 前アトランティス時代:第六亜人類アッカード人、第七亜人類蒙古人
≪第五根幹人類期 (後アトランティス時代)≫
-アブラハムからキリストへ、アーリマンの介入と唯物意識の進展-
1) 古インド文化期:紀元前7227年-5067年
2) 古ペルシャ文化期:紀元前5067年-2907年
3) カルデア・バビロニア・アッシリア・エジプト文化期:紀元前2907年-紀元後747年
4) ギリシャ・ラテン文化期:紀元前747年-紀元後1413年
4. シュタイナー思想から観る「死と再生の意味」
≪地球期第五文化期≫
・-意識魂の成長とキリスト衝動-
・ゾロアスター、ソロモン、モーセとキリスト意識
・イエスに具現化されたキリスト衝動
・二人のイエス
・ゴルゴダの復活と再生
・三つの魂と転生の彼方への進化
5. シュタイナー思想から観る「死と誕生」
・ルシファーとアーリマンの介入
・眠りと死
・死後の行方
6. 生命科学が解き明かす精神科学とは
・死の本質について
・体の統合化と月との分離
・自由の獲得と自己意識〜自己の高度化と他者について
・ミトコンドリアとの共生
・死を制御するもの
・自己意識の進化の果てに
▪️「ヌーソロジーから見たシュタイナー思想」 半田広宣
1. ヌーソロジーの宇宙観——観察子という概念
・ケイブユニバース
・ヌース、回転、霊
・観察子という概念について
・観察子の発展規則
・シュタイナーの三分節論とヌーソロジーの観察子構造
2. シュタイナーの「体」と「魂」とヌーソロジー
・ケイブコンパスにおける人間の元止揚
・物質体とエーテル体
・人間の調整質について————感覚魂の基礎と悟性魂の基礎
・人間の中性質について————アストラル体と意識魂
・人間の性質と定質の発展秩序
・歴史意識の発達と次元観察子との対応
3. シュタイナーの「霊」とヌーソロジー
・プラトン年と次元精神
・人間の意識の由来————ポスト・アトランティスとしての人間
・覚醒と眠り、生と死
・アーリマンとルシファー
・キリスト意識と人間の意識の顕在化について
・変遷する知覚様式
・アトム ハート マザ———— 心の母胎としての原子
・霊としての元素体の役割
・精神構造としての元素体の意味について
・ヌーソロジーから見た霊我、生命霊、霊人の世界
4. エーテル空間と太陽霊について
・エーテル空間
・エーテル空間と射影空間
・次元観察子ψ1〜2————物体空間に閉じ込められた宇宙
・エーテル空間とは奥行きのことである
・3次元空間という名の共同幻想
・コンパクト化した奥行き
・持続空間としての複素空間
・波動関数の謎解き————点のセンシビリア
・次元観察子ψ5〜6———円心という概念、そして観点の球面化
・ヒルベルト空間の謎解き————思考に浮上する魂のカタチ
・記憶の器としての物質粒子————魂の顕在化
・ゲージ対称性と潜在化における次元観察子のシステム
・陽子と中性子と電子の本質とは何か
・円心化する地球の自転円と公転円
・すべてが内在となる時代へ向けて
第2部 新しい霊性の時代への展望 半田広宣 福田秀樹 大野 章
1. 物質と自我について
・破砕と濃縮
・直線的時間とケイ素化合物
・人間の自我意識
・太陽系とカバラの生命の樹
・視空間と触空間
・自我の育成と霊の個体化
2. 意識の反転と霊視力の目覚めについて
・現代の危機とは
・三千年紀問題
・輪廻
・ルシファー的なものとアーリマン的なもの~霊的存在と霊性の統合
・ヌーソロジーの空間論
・霊性の目覚めと人類の進化
・霊的文明への回帰
3. 霊・魂・体の世界について
・魂の位置
・科学の発展と霊的認識
・純粋思考とエーテル空間
・チャクラ
4. 円環について
・円環構造とは
・円環構造と同一性
・円環構造と太陽系
5. 自由意志について
・受動性と能動性
・神々の自由
・ミトコンドリアと自我の創生
・高次世界とキリスト衝動
6. 純粋思考について
・「感じろ、そして、考えろ」
・霊的認識力と霊視
・自我と元止揚空間
・イデアの直接認識
7. 意識魂について
・マナスの顕在化
・現代物理学と現代哲学
8. 人間が無意識に過ごした場合の代償について
・物質文明と資本主義の行き着く先
・コンピュータ技術と第3のコミュニケーション空間
・IT技術とiPS細胞
・物質極から霊的極へ
9. 世界に霊性を取り戻すために必要なこと
・死をもう一度深く考える
・西洋と東洋の分離と日本人
・「他への関心」「意識的叡智」「真実性」の意味するもの
10. 奥行きを認識する
・人間が霊性を形成すべき3つの段階
・物質と霊の裏表の関係
・幅と奥行き
11. これから人間はどこに向かうのか
・物質文明から霊的文明へ
・直感から学ぶこと
・天上界の革命を夢見て
著者について
半田広宣
1956年福岡生まれ。1989年より精神と物質の統合についての研究を始め、2013年より東京、大阪、福岡でオリジナルの宇宙論ヌーソロジーのレクチャー活動を始める。著書に『2013:シリウス革命(たま出版)』『反転の創造空間(ヒカルランド)』等がある。現在、(株)ヌースコーポレーション代表取締役。ヌースアカデメイア代表。武蔵野学院大学スペシャルアカデミックフェロー。
福田秀樹
1955年生まれ。東京大学卒、ジョージタウン大学大学院(外交政策)修士。通商産業省(現経済産業省)で資源政策、技術協力政策等に携わった後、企業経営のコンサルティングファームであるボストン・コンサルティング・グループに入社。経営ビジョンや各種戦略の策定、組織・意識改革等様々なプロジェクトを手掛ける。同社のマネジング・ディレクター/パートナーを経て独立。現在福田秀樹事務所代表。テクノロジーの爆発的発達、環境問題、貧富の格差拡大など大きな問題に直面する現代社会の、社会全体の長期ビジョンという観点から、長年シュタイナー思想の研究に取り組む。
大野 章
1952年東京生まれ。医学博士。大学卒業後、製薬会社の研究所勤務を経て、大学教員となる。医学細菌学の研究にいそしみ、細菌たちと日々向き合う生活を送る中シュタイナー思想の生命観と出会い、新たな研究の世界へと入る。現在、大学非常勤講師、企業学術顧問、監査役、NPO法人理事などを担う。
編集・構成:江口勝敏 (株)フロムイエロートゥオレンジ代表取締役CEO/コンテンツプロデューサー。
表紙原画:マシマタケシ 原画映像処理:天海ヒロ (Animandara)
デザイン:櫻井 浩 (6Design)
7月 14 2017
人間の先史が作り上げた古代都市について
永遠の現在―ドゥルーズは記憶内容としての記憶の根底に、もっと深い収縮としての記憶があると言う。~~われわれの知覚はそれぞれの瞬間に《記憶された無数の要素》を収縮し、われわれの現在はそれぞれの瞬間にわれわれの過去を無限に収縮する。『ベルクソンの哲学』P.80
こうした過去のことを通常の過去と区別して、ドゥルーズは純粋過去と呼ぶ。それは過ぎ去って存在しなくなった過去ではなく、現在とともに現存する過去のことを言う。純粋過去の特徴はおおよそ次のようなものだ。
1.純粋過去は現在と同時だということ。
2.純粋過去自体は過ぎ去らないし、到来もしない。
3.純粋過去は”存在した”ものではなく、存続し、存在するものである。
4.純粋過去は、過ぎ去る現在に先立って前存している。
こうした純粋過去の場所について、それが「奥行き」の中に眠っているとドゥルーズは『差異と反復』で仄めかしてはいるのだが、その場所探し、その地図作成について深くは追及していっていない。
この奥行きの探索は言ってみれば地底探検のようなもので、そこでは時間が止まった世界の風景が球形のアーキテクチャとして層をなしている。シュタイナーの言葉でいうならエーテル界だ。それは存在の洞窟において最初に見えてくる物質原像(無生物を作りだしているイデア)の世界と言っていい。
この垂直の深みに息づく球形のアーキテクチャの層は時空という水平面の世界では「回転」の多重性という形で影を落としてくる。それがいわゆる波動関数を基本にして表現される素粒子世界だと考えるといい。
このアーキテクチャは人間の先史が作り上げた、一種の古代都市のようなものと言い換えてもいいだろう。それは精神が作り上げている共同体のことでもある。それが今では流れ行く時間の勢力のもとに見事にバラバラに破壊され廃墟と化している(素粒子を粒子や波動として捉えるときなどが特にそう)。
このアーキテクチャを僕たちの認識に再構成することは不可能なのだろうか。幅の世界の中で水平化してしまった人間の欲望を、奥行き方向への垂直化した欲望へと切り替えていくことが必要だ。そのためにも人間の先史が作り上げた古代都市の姿の、せめて設計図だけでも復元したいと思っている。
By kohsen • 01_ヌーソロジー • 0 • Tags: シュタイナー, ドゥルーズ, ベルクソン, 奥行き, 差異と反復, 波動関数