3月 13 2009
ヒトの精神構造としての太陽系(2)
ユング派のエーリッヒ・ノイマンは「個人の自我意識の発達が人類が歩んできた意識発達の元型的諸段階を辿る」 という仮説をその著『意識の起源史』の中で立てたが、ヌーソロジーにおいてはその元型がそれぞれ内惑星系列(地球、月、水星、金星、太陽、火星)と外惑星系列(木星、土星、天王星、海王星、冥王星、惑星X)のそれぞれの構造にあると考える。外惑星系は人類の意識発達を促進させている無意識の次元機構である。
以下、ヒト、真実の人間、といったようなヌーソロジー特有の言葉が出てくるが、とりあえずここではヌーソロジーが用いる次元観察子と大系観察子という二つの観察子概念が全く同じ構造変動の形式を持っているということに気づいていただければそれで十分である。
■1、大系観察子Ω7~Ω8………木星と土星(ヒトの精神と付帯質)
●木星=Ω7………意識の等化(ヒトの精神)
人間が自らの無意識構造のすべて(定質の対化)を顕在化させたときに生まれる精神の力を意味している。顕在化におけるψ13。人間の定質と性質が等化され、次元の方向性を変換するために意識の等化が行われるところ。Ω7の完成によってトランスフォーマーからヒトへの進化が生まれ、Ω7は凝縮化によってΩ*1=ψ*7へと繰り込まれ、次の次元の人間の意識に潜在化としての元止揚(ψ*7)を送り出すことになる。
●土星=Ω8………意識の中和(ヒトの付帯質)
ヒトの精神=Ω7の対化であるΩ*7が存在しているために、精神の相殺として生じる中和の位置を意味する。顕在化におけるψ14と同意。新しい次元における人間の意識の内面の元となる場所を作る力。時空間の元となる位置。人間の意識に性質を送り出していくところ。存在における無の深淵(カバラにおけるダートの役割と考えてよい)を意味する。Ω8は凝縮化によってΩ*2=ψ*8へと繰り込まれ、人間の意識に潜在化としての元止揚の反映(人間の付帯質=時空)を送り出すことになる。
■2、大系観察子Ω9~Ω10………天王星と海王星(真実の人間の思形と感性)
●天王星=Ω9………真実の人間の思形(原父 : コクマー)
ヒトの精神が対化(Ω7とΩ*7=木星の対化という言い方をする)の等化への方向性を持つことにより、Ω7がΩ8=付帯質への交差として働きかけてくるときの方向性の力。人間の意識の内面性(人間の性質=赤い矢印の流れ)を作り出して行く働きを持つ。言語の生成を行っていくところ。
上図6からも分かるように、Ω9はΩ2(ψ8)→Ω4(ψ10)→Ω6(ψ12)→Ω8(ψ14)というように、人間における偶数系観察子の次元を上位から交差して行き、人間の意識の内面性(赤い矢印の流れ)の発達を促して行く。真実の人間においてのこの青の流れで示された思形=Ω9が原因となって、人間の意識は偶数系観察子側(赤い矢印の流れ)を先手に持たされ、太陽系が本来持っている生成力の方向(Ω1が先手)とは逆向きの転倒した意識発達を余儀なくされることになる。この発達の仕方をニーチェ倣って「反動的生成」と呼ぶ。これは正常なΩ1〜Ω8が見えなくさせられているということと同意なので、ルーリア・カバラでいう「器の破壊」と解釈してよいだろう。天王星の働きによってアンドロギュノス的領域としてのヒト(イェッツェラー界)は解体され、新しい次元の方向性を生み出すための負荷として人間の活動界(アッシャー界)がダート(土星)の内部に形作られていくことになる。ヌーソロジーでいう有機体(カタチのない精神)の生成活動である。
Ω2(ψ8)………肉体構成としての転換作用(原始部族)
Ω4(ψ10)………想像界的文明(母系的、多神教的文明)の生成
Ω6前半(ψ12前半)………近代自我の目覚め、市民社会の形成等。
Ω6後半(ψ12後半)………ワンワールド体制に向けての国家の闘争
Ω8(ψ14)………デジタル空間。データベース空間。人間の意識の覚醒(顕在化)の反映。進化を覚醒できないまま付帯質の内面へと遷移させられていく人間の意識の流れ―アトランティス的なもの。
●海王星=Ω10………真実の人間の感性(原母 : ビナー)
天王星が持った方向の反映として働く真実の人間における変換性。天王星とは方向が全く逆なので、海王星は人間の意識の外面性の発展を促進する働きを持たせられている。Ω10は図6に示したように、Ω1(ψ7)→Ω3(ψ9)→Ω5(ψ11)→Ω7(ψ13)という順番で奇数系観察子の領域を交差して行き、歴史における人間の意識の外面性(反性質 : 青い矢印の流れ)働きの発達を促進させていく。この反映力は海王星が破壊された器の原型の記憶を持っているということを意味する。
Ω1(ψ7)………知覚を送り出す働き
Ω3(ψ9)………象徴界的文明(父系的、一神教的文明)の生成
Ω5前半(ψ11前半)………科学主義の出現。
Ω5後半(ψ11後半)………現象学、量子論的世界観の出現。
Ω7(ψ13)………人間の意識の最終構成。ヌーソロジー的認識の発現。進化を覚醒していくための人間の意識における元止揚(顕在化におけるψ*7)の生成。マルクト=Ω1を完成させ、元止揚=地球の顕在化を導くための力となる。—ムー的なもの。
※現時点のケイブコンパス上の意識流動の分析からいくと、天王星と海王星は以上のような働きを持っていると思われるのだが、なぜかここで女性原理と男性原理の転倒が起こってしまう。どういうことかというと、通常、神秘学では天王星=男性原理、海王星=女性原理と考えられているので、天王星が象徴界や科学主義を作り出してこなければならないはずだが、反対に想像界や市民社会の形成等を生み出してくる無意識の働きとなってしまっている。この逆転関係をどのように解釈していいのか目下のところ思案中だ。ひょっとすると、どこかでもう一つ捻れを持っているのかもしれないが、今のところそのような構造が介入してくる様子は見えていない。
9月 15 2010
ヌースレクチャー2010・ファイナル
先週の土曜日(9月11日)、ヌースレクチャー2010ファイナルと銘打って、今回のレクチャーシリーズ終了の記念イベントを行いました(上写真は講演会後の懇親会の様子)。
イベント開始直前の会場はキャパ限界の人数で溢れ返り、もう熱気でムンムン。いつものレクチャーとはちょっと違った緊張感がみなぎっている。それもそのはず、今回のファイナルでは東京から某大手出版社のO編集長、M学院大学のT学長、そしてT大医学部のO助教授という3名のスベシャルゲストを招聘。いずれのゲストも僕の親しい友人でもあり、かつ、僕がヌーソロジーの構築を進めていく上で多大なる協力を惜しみなく与えてくれている恩人たちでもある(今回も多忙な中、足を運んでくれてありがとうございます!!)。
普段は冗談ばかりを言い合っているような仲間なので、僕自身、3人の紹介を硬めにするか柔らかめにするかで戸惑ってしまい、冒頭の挨拶ではもう噛みまくり(笑)。何とも締まりのない浮ついたスタートとなってしまったが、しかし、三人の講演が順に始まると次第に会場のボルテージも上がっていき、まずは一安心。
トップバッターのO編集長。彼とはもう20年ぐらいの付き合いになる。僕が言うのも変だが、メディア業界という混濁した世界の中で彼ほどピュアな精神の持ち主はほかにはいないのではないか。それほど純粋な魂の持ち主だ。今回の話も彼のそうした人柄を象徴するように「情報とは情(こころ)を報(しら)せることである」という彼独自の情報論から入った。なぜ、自分が半田という人物と付き合っているのか、長い交遊にもかかわらずなぜようやくここに来てヌーソロジーに関する本を出版しようと思ったのか、その経緯や問題意識を淡々と語ってくれた。ヌーソロジーの本を最大手の出版社から、しかも新書本として、出す、ということは彼にとってもやはりかなりの冒険なのだろう。そのなみなみならぬ苦労を知って頭が下がる想いがした。O編集長の御尽力に心から感謝!!
2番手はT大のO博士。のっけからいきなり博多弁のギャグの連発で会場は大爆笑?かと思いきや、皆は笑っていいものかどうかどうも戸惑っている様子。それもそのはず、ここは確かに博多なのだが集まっている人たちは実は半分以上が九州以外の人たちなのだ。O博士の読み違い、というか、僕がそのへんの事情をしっかりと伝えておかなかったのが悪いのだが。。しかし、そこはO博士持ち前の豪放磊落な人柄で簡単にカバー。しっかりと作り込んできたPower Pointによる緻密かつリズミカルなプレゼンでヌーソロジーとシュタイナー人智学の宇宙観の相似性を笑いを交えて説明し、皆の目を釘付けに。その後、話題は氏の専門のソマチッドや不老長寿の水とされるフンザ村の水の解説へと。。あっという間の1時間だった。
3番手はM大のT学長。T学長の語りはいつもパワフルで、その淀みのない力強い語りが聞き手にガンガン迫って来る。今日も例外ではなく「科学主義という思想から全体性志向の倫理学へ」というタイトルで、ヌーソロジーのような思想が出てくる必然性について歴史学、社会学、さらには政治学も含めた観点から、極めて明瞭かつ簡潔に語っていただいた。さすが学長!! という感じである。その中でも特に印象に残ったのが「ソウルスイッチ」という言葉。ソウルスイッチとはT学長の弁によれば、固定観念に縛られた旧い世界観から意識をシフトして、既存の思考様式の境界を超える契機となる思考のことを指している。果たしてヌーソロジーが時代のソウルスイッチに成り得るのかどうか——課題はまだまだ山積みだが、改めてふんどしを締め直してかからなくては思った次第デス。ありがとう、学長!!
僭越ながら、ラストは僕の話。まずは今回のレクチャーシリーズの内容の総括。前半部分は12回に渡って解説してきたヌーソロジーの宇宙ビジョンをケイブユニバースのモデルを使ってひとまとめに説明し、後半はこれからやってくる2013年以後の世界風景について、そのポイントとなる部分を「器官なき身体(ドゥルーズ)VS身体なき器官(ジジェク)」というキーワードを挙げて簡単に説明した。——これから人類はブレイン-マシン-インターフェイスやバイオテクノロジーの発達によって、必ずや主体性の解体という問題に直面していく。この解体は不可避なものであり、ヌーソロジーはこの解体に対するカウンターとして出てきた思考である云々——。前者がアトランティス的なものだとすれば、後者はムー的なものであり、世界はいずれこの二つの方向に二分していく云々——。最後は『シリウス革命』のあとがきの言葉で締めた。
さて、講演会のあとは30分ほどの休憩。その後、福岡ヌースレクチャーの元々の発起人である九州気功の会のY会長(この会長も実はかなりの猛者である)に乾杯の音頭をとっていただき、第二部の懇親会がスタート。早い話、飲み会である。普通、こうした飲み会は合間合間に何か余興を挟まないと場が盛り上がらないものだが、今回ばかりはファイナルということで皆のテンションも高揚していたのだろう。会場のあちこちでごく自然に談笑の輪ができ、ヌーソロジーはもちろんのこと、スピリチュアルな話や物理学や生物学の話、政治の話や、武道、芸術の話と、様々な話題であちこちが盛り上がり、会場全体を包む心地よい賑やかさが一向に衰える気配がない。片隅で一人淋しく飲んでる御仁も誰一人見当たらず、参加者全員が話の輪に加わり、約2時間半の長きにわたって歓談は続いた。こういう風景を見ると主催者冥利に尽きるというか、やっぱレクチャーをやってよかったというか、何かこみ上げてくるものがあるのよね。
1年間という長丁場のレクチャーにも関わらず全国各地から通い続けてくれた皆さん、どうもありがとうございました。さらには地元から温かい応援をくれた皆さん、本当にありがとうございました。そして、このレクチャーシリーズを影で支えてくれたスタッフのI君、W君、無償で撮影に協力してくれたEさん、この場を借りて心から感謝の意を表したいと思います。合掌。
By kohsen • 01_ヌーソロジー, 02_イベント・レクチャー • 4 • Tags: アトランティス, シリウス革命, ドゥルーズ, ムー