11月 25 2016
久々のマグリット
自他における空間の相互反転関係が見えてくると、今の人間はほんとにデタラメな世界認識をしているということが分かってくる。何もかもがパッチワーク。万物を繋いでいる力の在り方が全く見えていない。
以前、ブログでも紹介したことがあるが、マグリットほど空間の二重性に気づいていた画家はいないかもしれない。この絵は『人間の条件』というタイトル。室内に置かれた絵画には家屋の外と全く同じ風景が描かれているが、双方の空間は奥行きそのものに見える風景と、3次元として概念化された空間の中に見える風景の関係にあると考えるといい。両者は実は反転関係にある。奥行きの世界と幅で見た世界。まさにこの二つの空間が「人間の条件」となっているというわけだ。(下図1)
この作品もかなりインパクトがある。1928年作の『恋人たち』という作品。彼、彼女には互いの顔は見えていない。そこに成就する恋とはこれいかに? もはや顔貌に自己を見ることがなくなった者たち同士における性愛の出現。そこから始まる両者の結合。バタイユのアセフェル(無頭人)の共同体のイメージだろうか。時系列的にはこの作品の方が少し早い。それにしても、今の人間の性愛はこれと真逆のことをやってることが分かる。美しいわたしを見て。かっこいいオレを見ろ。ああ綺麗だよ。ああ素敵だわ。(下図2)
作品名は『複製禁止』(1937)。僕らが普段「前」と思っている方向は他者の「前」をそのままコピーしたものだから気をつけろ!!ってマグリットは言ってるわけだね。この言葉の意味はそれぞれで考えて下さい。すぐに分かった人はかなりのヌース脳の持ち主。ラカンが鏡像段階論を発表したのもこの年だったような。。(下図3)
11月 11 2019
ブレイクアウトの風景・・・POP思想、POP哲学の時代へ
なぜか1980年代の個人史を色々と思い出して、ちょっとしたノスタルジーに(笑)。
1985年の井の頭事件で心がボロボロになって、精神状態がドツボだった時代。このコリーンの笑顔には結構癒された。心をこういう感じで爽やかにさせる曲って今はあまりないね。
今こそブレイクアウトしなきゃ
立ち止まってる場合じゃない
自分の道を歩き出そう
みんな言いたいことを言っていい
頑張ろう!
ってな感じの歌詞。
Swing Out Sister – Breakout
1980年代半ば・・・世の中はバブルで浮かれてたけど、自分的には一番ボトムだった時代。精神がやられてコアな音楽も聴けず、良質のPOPSで自分を勇気づけた時代。
The Style Council – Shout To The Top
TEARS FOR FEARSも聴いたなぁ。Oasis以前にジョンテイストのメロで大ヒットを飛ばしたのってTEARS FOR FEARSぐらいじゃないかね。特に”Sowing The Seeds Of Love” 。出足の”I Am The Walrus"風メロとサビのHello, Goodbye風メロのミックス感がほんとビートルズっぽかった。
とまあ、思い出話はいいとして、
オカルト好き、哲学好き、科学好き、アート好き、中卒、高卒、大卒、博士まで。老若男女―あらゆるタイプの人が同じ目線で意識や宇宙について語り合える共通のプラットフォームを作り上げること。それがヌースが目指す宇宙思想。すべてが新しい概念で張り巡らされた新しい宇宙像。今はウラ取りの段階だからいろいろ知識を持ち込んでるけど、奥行きが目覚めれば、そういうものもいらない。
奥行きとして生きる精神に気づき出すと、幅がどれほど奥行きを抑圧していたのかが分かってくる。神の人間に対する抑圧。道徳の倫理に対する抑圧。男の女に対する抑圧。大人の子供に対する抑圧。社会の個に対する抑圧。暴力的なまでの対称性の破れ―それが人間の条件だと言わんばかりに。
世界の成り立ちは、この垂直の地平が考慮されなければ、永遠に理解には至らないだろう。存在の垂直的な記憶は常に空間の一点に向けてその影を落としてくる。ここに、あそこに、そこかしこに―私たちが物質と呼んでいるものは、そのすべてが存在の追憶の雫のようなものだ。
高度な音楽教育を受けても決して良質なPOPSを作れないように、思想や哲学も知識だけではつまらないものにしかならない。研究と創造は全く違うもの。次世代の思想は音楽のように”民衆”が主役にならないとね。
それが、ほんまのbreak outの風景だと思うよ。
By kohsen • 01_ヌーソロジー, 07_音楽 • 3