4月 21 2025
「人間の条件」の風景
窓辺の風景、
絵筆が奏でる現実の模写。
部屋の中は薄暗き内面、
無限遠点からの微かな光が、
境界の消えた風景をそこに描く。
そのとき、私の瞳は窓枠に重ねられた絵となり、
森の外と内を繋ぎ、
瞬きの中で大地を広げる。
遠い丘が僕の心へと忍び込む、
まさに描かれた絵のように——。
そのとき、私は風景そのものとなるのだ。
色と形がすべてを呑み込み、
世界はただの幻と化す。
境界を失った私の思考は、
風景と共に、そこに溶けていく。
ああ、私は窓辺の囚人でもあったのだ。
内と外を彷徨い続ける、
永遠を旅する視線を持つもの。
絵の中の絵として起き、
夢の中の夢として眠る。
「人間の条件」という名の枠に閉じ込められた、
終わりなき内と外の対話。
4月 22 2025
「恋人たち」の風景——消えることによって現れるもの
二人の顔を覆う布の彼方に、
消えゆくのは鏡像としての男?
それとも女?
ただあるものたちの沈黙の中で、
静かに燃えるているのは光の外の光。
二人の唇は決して触れ合うこともなく、
それでも深く繋がり合い、
心の底で共鳴の音が鳴り響いている。
おそらく、この世界が終わるとき、
彼らだけはこの沈黙の中へと入り込み、
終わりのないコミュニオンに包まれる。
「恋人たち」という、
永遠のなかで、
共に響きあう存在の詩。
内も外もないのだ。
ただ共にあること。
それが愛の本質だと、
マグリットは淡々と歌い上げる。
By kohsen • 08_文化・芸術 • 0 • Tags: マグリット