10月 8 2008
時間と別れるための50の方法(41)
●有機体の起源——光と闇が交差する場所
光に満たされた「前」の世界。そこには確かに存在がphenomenon=現象として開示し、「自己」という意識が自然世界とともに立ち上がってきています。しかし「後」の世界の方はどうでしょう。「後」は決して見ることはできず、絶えず闇に包まれた仄暗い空間です。そして、この「後」を「前」として見ている存在、それが「あなた」です。わたしの後であるところの闇を、あなたはあなたの前であるところの光と見て、同時に、あなたの後であるところの闇をわたしはわたしの前であるところの光として見ている。皮肉にも、わたしとあなたでは光と闇の関係が真逆になっている。対化が持った例のキアスム(双対性による交差配列)がこのψ5~ψ6レベルでも当然のごとく構成されているわけです。次元観察子ψ5~ψ6レベルにおけるこのキアスムの構成を念のために前回の図2に描き加えてみることにしましょう。
この図からも分るように、自己と他者においては、4次元から見た場合、人間の内面の対化(ψ6~ψ*6)と外面の対化(ψ5~ψ*5)の関係が相互に反転しており、ψ5はψ*6と、ψ*5はψ6と互いに捻れるようにして交差関係を持っていることが分ります。これらの捻れは、以前少しご紹介したように、他者を通して得た鏡像を無意識の主体に自己同一化させるための反転作用を意味しています。つまり、ψ5を真の主体だとすると、このψ5は他者の眼差し、つまり他者の視野空間ψ*5を通して、自らの鏡像をψ6として作り出し、そのψ6を今度はψ*6側へと反転させ、ψ5としての本来の主体を観察するということです。これは、精神分析的に言えば、主体が「他者にとっての他者」として想像的自我を形成する際の構造をそのまま表していると考えることができます。
これを普通の言葉で端的に言い直すと、無意識の主体は他者の「後」を利用することによって「前」である自分自身を対象化することができているという意味です。本来、前には距離など存在しないにも関わらず、そこにあたかも空隙があり、自分と世界が分断させられているような感覚を人間が持ってしまうのは、この他者の後側に想像されている次元観察子ψ*6がもたらしている時空感覚と言ってよいでしょう。つまり、「わたし」は自分の身体を他者の身体イメージに重ね合わせることによって、自分からの空間の広がり、そして時間を感じているということです。
この図で双対時空として表されている次元観察子ψ6とψ*6の差異は簡単に言えば、他者から広がって見える空間か、自分から広がって見える空間かの違いです。もっとも、わたしたちの意識はそれらの両者さえも同一化させていますから、その場合はすでにψ5とψ6が中和された形での次元観察子ψ8が作用していると言えます。ψ8はψ6とψ*6を同一性の空間に投げ込み、その差異を見えなくさせてしまいます。
さて、フロイト-ラカン心理学が言うように、「わたし」という存在の基盤が他者の眼差しに照らされてこの世に誕生してくるものだとすれば、ヌーソロジーの文脈では自我とは「闇の中に堕ちた光」ということになります。これはご存知の通り、旧約ではルシファーと呼ばれている存在です。光としての自分に気づくことなく、時空の中を彷徨う物質的視線の群れ。その契機は「わたしの前」があなたの眼差しのコピーによって、後へと変えられてしまったときに生じたものだと考えていいでしょう。このとき、現象としての「前」だったものがわたしの顔貌へと反転し、世界はそこに虚像として集約されてしまうのです。顔貌はその意味で仄暗いロウソクの炎に照らし出された輪郭のおぼつかない仮面にすぎません。誰もが他人の顔のように自分の顔をありありとイメージできないのも、顔貌がこうした陰の中にその生い立ちを持っているからです。
しかし、人間はこうした仮面を被ることで人間として生きることを可能にしています。つまり、人間として生きるには、「前」としての本来の自己を一度、見失うことを条件としているわけです。そして、互いにこの「前」を見失ってしまった同志である「わたし」と「あなた」がこの闇の中で対面すると、両者はこの不気味な仮面をつけたまま、決して互いの存在を認めようとしない頑固な生き物に変わってしまいます。変な話です。互いは互いをコピーし合って生きているにかかわらず、相手を尊重するのを拒むのです。いや、ひどい場合になると、相手を自分の支配のもとに自分と同一化させようとしては、それに絶えず失敗し、相手を憎しみの対象としてしまう。輪郭も定かでないたかが自分の顔一つのために、です。オレの顔に泥を塗ったな。オレの顔を潰したな。オレの顔が立たないじゃないか。人間の顔に対する執着はそのままψ*6からψ6への退行を意味します。これこそ、まさに後ろ向きな生き方というものです。
仮面を首尾よく反転させることさえできれば、そのまま世界面そのものになります。「わたし」は別に顔を纏った人間である必要はありません。ネイティブアメリカンが言うように、風であってもいいし、山々であってもいいし、動物であってもいいし、植物であってもいい。誰でもないわたし。決して名付けられることのないわたし。Mr.Nobodyとしてのわたし——そうした万物たる「わたし」に気づいたとき、「わたし」はおそらく不死になるでしょう。そして、そうした万物の有り様としてのわたしは巨大さや矮小さなどといった些末な3次元的な概念からは解放され、異次元の存在として、永遠の中へとすっと音もなく潜り込んでいくはずです。——つづく
12月 12 2008
時間と別れるための50の方法(58)
●ケイブコンパスと元止揚空間
さて、ヌーソロジーが用いる次元観察子という耳慣れない概念について、その第一番目から第八番目に当たるものまでを解説してきましたが、とりあえずここでまとめの意味でも、今まで説明してきた次元観察子ψ1~ψ8の概念をケイブコンパス上で整理して配置しておきたいと思います。
「ケイブコンパス」というのは『シリウス革命』で紹介した「プレアデスプレート」という人間の意識次元の構造を表したモデルの改訂版のようなものです。「プレアデスプレート」は人間の意識発達を観察子の序数に沿って順序づけた円環モデルだったのですが、このモデルでは観察子相互の有機的な連結がうまく表せませんでした。どうしたものかと煮え切らない気分でいたときに、2001年になってドゥルーズ・ガタリの『アンチオイディプス』『千のプラトー』という二冊の書物と出会い、「プレアデスプレート」は一気に「ケイブコンパス」へと生まれ変わりました。あのときのコンバージェンスは強烈でした。四方八方に飛散していたヌーソロジーの世界イメージがドゥルーズ・ガタリの思想線に吸い付けられるようにことごとく一致していったからです。この「ケイブコンパス」のモデルが出来上がって、ヌーソロジーは単にオカルティックな知識だけではなく、現代思想の潮流とも接続が容易になったと言えます。
「ケイブコンパス」とは、言ってみれば無意識構造の海(人間の外面の意識の総体領域)を航海していくための羅針盤のようなものです。ヌーソロジーはこのケイブコンパスによって、フロイトから発した無意識研究の成果として著されてきた様々な諸理論、例えば、ピアジェやエリクソンが示した発達心理学や、ラカンの示した精神分析、さらにはユング派のノイマンが示した人類の歴史的な集合無意識の発達構造の仕組み等を、単に観念的なモデルではなく、今まで皆さんに解説してきた次元観察子ψ7〜ψ8を土台とした次元観察子ψ9〜ψ10、ψ11〜ψ12の空間構造の流れの中にマッピングしていくことになります。
ケイブコンパスが誘導していく無意識構造の世界は、最終的に元素番号1番と2番の水素-ヘリウム構造とシンクロしてきます。にわかには信じ難いかもしれませんが、これは人間の意識-無意識構造が実のところ、水素-ヘリウム構造の中で律動させられていたということを意味しています。今になって思えば、交信初期にOCOTがなぜ太陽の核融合の話にあれだけこだわっていたのかが分る気もします。
「では、あなたは太陽の本質について何か完全な解答をお持ちだというのですか。」
「完全とは申しませんが、プレアデス的統制より本質を捕らえているのではないかと思います。」
「なるほど、では、その本質について聞かせてほしいものです。」
わたしは科学を馬鹿にされたような気がして、やや挑戦的な口調になった。
「太陽とは、オリオンからプレアデスへと向かう意識の流動を、逆方向へと向かわせる力の総体が、人間の意識に現れている部分です。人間が進化の方向へ意識の反転を行うための鏡のような役目を持っています。オリオンが持った無限力の下次元的射影という表現もできますね。」
意識の反転のためのカガミ………………? あまりに抽象的で難解な表現だった。
『2013 : 人類が神を見る日/アドバンストエディション 』p.41
このケイブコンパスが露にしていく世界は、密教的に言えば、以前もご紹介したように胎蔵界曼荼羅に描かれた世界のことであり、カバラで言うならば、アッシャー界におけるマルクト(地球)-イエソド(月)–ネツァク(金星)-ホド(水星)-ティファレト(太陽)までの働きを含んだものと言えるのではないかと思います。
ケイブコンパスの全体性は、人間の無意識を構成するψ1~ψ14、ψ*1~ψ*14という合計28個の次元観察子の配置関係から構成されています。人間の外面側であるミクロ空間側ではこれらは素粒子構造の全体性を表しており、一方の人間の内面側であるマクロ空間側では「28」という数からも想像されるように、地球-月間を支配する28日の月の自転、公転周期に反映されてくることになります。まだ漠としたイメージでしかありませんが、ヌーソロジーでは素粒子空間と地球-月空間は7次元球面の表裏、同様に原子空間と太陽系空間もより高次の空間における同じ構造体の表裏関係として把握されてくるのではないかと予想しています。人間の内面の意識ではミクロとマクロが等化できていないので、「小さなものが大きなものを作る」という機械主義、還元主義的な世界観に入り込んでいますが、4次元に始まる高次元知覚能力が生まれてくれば、ミクロ世界とマクロ世界は同一のものの正反方向における射影のように見えてくるのではないかということです。
このシリーズで詳しくご紹介してきた次元観察子ψ1~ψ8は、こうした新しい宇宙ビジョンを描像化していく上で最も基礎となるプラットフォームとなっており、この基礎の部分をヌーソロジーでは「元止揚空間(げんしようくうかん)」と呼んでいます。「元止揚」という言葉の由来は、この空間領域が、前次元の人間の意識進化が作り上げたヒトの精神の力によって止揚されてきたものだと考えているところにあります。つまり、どうも旧次元の人間の意識進化の集大成がこの次元の人間の意識を支えるための土台として押し上げられてきているようなのです。
ヒトの精神と付帯質とは、観察子で言えば大系観察子Ω7とΩ8に当たるもので、これは人間の意識の覚醒において生起する次元観察子ψ1〜ψ14の顕在化が作り出していきます。その意味で次元観察子の顕在化を進めて行くトランスフォーマーとは、ヒトの精神の構築に着手する者という言い方ができるかもしれません。ケイブコンパス全体の構造を意識が知覚できたときに、トランスフォーマーはヒトの意識へと進化を果たすことになるのでしょう。ヌーソロジーが目指すとりあえずのゴールです。
人間の意識におけるψ7〜ψ8=Ω1〜Ω2………終了済み
人間の意識におけるψ9~ψ10=Ω3〜Ω4………終了済み
人間の意識におけるψ11~ψ12=Ω5〜Ω6………2012年に終了予定
人間の意識におけるψ13~ψ14(顕在化)=Ω7〜Ω8………2013年より突入予定
こうして作り出されたヒトの精神と付帯質である大系観察子のΩ7〜Ω8が、今度は、次の次元の人間の元止揚であるψ*7〜ψ*8を作り出し、次の次元の人間の意識はこのψ*7〜ψ*8を土台にして再び、ψ*9~ψ*10、ψ*11~ψ*12というように、胎蔵界曼荼羅の世界を経験していくことになるということです。『シリウス革命』で書いた宇宙的輪廻の具体的な仕組みがここにはあります。
この元止揚のシステムは、このシリーズの第56回目に紹介した「凝縮化」という作用によってもたらされてきます。凝縮化は次元観察子ψ、大系観察子Ω、脈性観察子φというタカヒマラを構成するすべての観察子の律動に一貫して貫かれている法則性です。この凝縮化は凝縮化に凝縮化を多重に重ね合わせていくことによって、最終的にはタカヒマラのすべてがψ1~ψ2領域に入り込んでくるような仕組みになっています。つまり、タカヒマラに凝縮化の仕組みが存在しているからこそ、タカヒマラで律動するすべての高次元精神の活動はモノ(ψ1~ψ2領域)の中にその影を作り出すことができているわけです。そして、その最たるものが、言うまでもなく、人間の肉体です。
ヒトへの道のりはまだまだ長いです。ゆっくり行きましょう。ちなみにヌーソロジーのシンポルナンバーである「2013」とは、位置の変換(顕在化)が始まる年です。手前味噌になりますが、現在ヌーソロジーが行なっていることが、多くの人に認知され始めるということかな?いや、そうした動きはヌーソロジーのみならず、世界の様々なところで起こってきていますから、霊性奪回の動きが社会的な潮流となり始めることを言うのでしょう。ヌーソロジー的に言えば、2012年で人間の意識は次元観察子ψ11~ψ12の段階が生み出してきた近代合理主義、科学主義、個人主義、さらには資本主義に終止符を打って、ψ13〜ψ14という位置の変換のステージへと突入していくことになります。OCOT情報をまともに受け取るならば、このステージは実は驚くほど短いんですね。たった24年で終了するようです。というのも、位置の変換の時期においては、どうも1年と次元観察子の1単位が同期するような仕組みがあるようで。。。ということは、2013+24=2037ですから、西暦2037年には位置の変換が完全化し、新しい人間の精神が元止揚として誕生してくるということになるのでしょうか。もし、アセンションというものが劇的な自然現象の変化として現れるというのならば、この2037年の方が本命かもしれません。「入神」です。人間の意識がヒトの精神に入ること。そのとき存在世界全体が反転を起こすことになります。ほんまかいな(笑)――つづく
By kohsen • 時間と別れるための50の方法 • 1 • Tags: アセンション, アンチ・オイディプス, オリオン, カバラ, ケイブコンパス, シリウス革命, タカヒマラ, ドゥルーズ, フロイト, プレアデス, ラカン, 人類が神を見る日, 付帯質, 元止揚空間, 大系観察子, 素粒子