12月 15 2022
「ヌーソロジーの空間認識論はどのように物理学と関係し得るか 4」研究動画シリーズ#24(船木)
船木研究員による研究動画です。今回の船木研究員の動画はヌーソロジーと量子力学の対応の準備について、俯瞰的に概括する内容になっています。様々な数式が登場してきますが、これらの具体的な解説は各論に入ったときにまた出てくることでしょう。量子力学に関する大事なポイントがまとめて語られていますので、是非、ご覧になられてみてください。
船木氏も今回の動画で触れられていますが、量子物理と古典物理との一つの大きな違いは、運動量やエネルギーといった物理量が演算子で表現されるところにあります。ヌーソロジーでは、演算子は持続世界の力を延長世界の力のあり方の表現へと翻訳するための媒介役のようなものと考えます。
円(複素数)の中で活動している持続の力を、直線(実数)を指標とする物理的な力の量へと翻訳しているということです。大雑把に言えば、巻尺のように円から直線を引っ張り出している、そんなイメージですね。空間の巻尺なら運動量。時間の巻尺ならエネルギー。どちらも、持続の延長的展開です。
でも、今の物理学のように直線世界に展開された力ばかりを見ているだけでは、本質である円的世界に入っていくことはできません。円的世界の方を持続に止まって(永遠の相のもとに)直接覗けるような認識を作って行こうじゃないか、と呼びかけているのがヌーソロジーだと思ってください。
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船木氏の研究動画ではヌーソロジーの空間認識の概要の説明から入る。
この説明は「現在、人間は物の内部にいる」——という言い内容で始まるんだが、こののっけの部分で、「What?」となる人がほとんどかもしれない。「馬鹿言うな、オレはちゃんと物の外部にいるじゃないか」って。
でもそれって、ホントかね?
世界があるということと、自分がいるということが、もし君の中でゴッチャになっているとしたら、君はまだ物の中に閉じ込められている——そう思わないといけない。物の中に閉じ込められているわけだから、ちゃんと物が見えていないってことだよ・・・。
ヌーソロジーではそういう世界のことを「潜在化の次元」って呼んでる。潜在化とはまだ世界が眠ってることを意味してる。「いやいや、世界って目の前にあるっしょ。眠ってなんかいないっスヨ」と言いたくなる気持ちも分かるけど、君自身が世界となった世界はまだ現れていない。そういうことを言ってる。
ここで言ってる「物」の外部とは、単に空間的な位置のイメージで言ってるわけじゃない。見えている物と物を見ている君自身との次元の違いのことを言っている。この次元の違いが分からなきゃ、君はまだ物の外部には出れてないってことだよ。この次元の違いが哲学でいう存在論的差異ってヤツに当たる。
本当の外部とは「いる」が「ある」に結びついている世界のこと。今のように「ある」と「いる」の違いがよく分からなくなっているような世界は、「ある」から出れていないんだよ。ほとんどの人の人生が苦しみに満ちたものになってしまうのも、この「ある」に皆んなが縛り付けられているからだと思うよ。
2月 1 2023
夜明け前
空間には一次的な空間と二次的な空間がある。一次的な空間が奥行きで、二次的な空間が幅。というのも、奥行きナシでは幅なんて見えないから。人間の場合、なぜか幅が先手に来て、奥行きが後手に回ってしまっている。奥行きに幅をあてがって、奥行きが分からなくなってしまっているということ。
奥行きとは持続としての精神の場。つまり君自身。物質のすべては、この奥行きから作り出されているのだけど、幅が先手に回った意識にはこのことがまったく分からない。自分と物質なんて何の関係もないと思ってる。
だから、空間に3次元を見ている限り、人間は自分のことなど永遠に分からない。ほんとうの自分の亡骸を物質として見続けるだけ。自分に目覚めたいのなら奥行きに目覚めよう。そして、そこから世界を再構成していくこと。
「ずん!!」と一気に入ればいい、奥行きに。それによって初めて実像としての宇宙が君の前に現れてくる。姿も見えず声も聞こえないかもしれないけど、そこには過去のすべての死者たちが姿を変えて生きている世界がある。そうやって生者と死者を繋ぐイメージを作ること。秘儀参入の場なんだよ、奥行きは。
幅の空間世界から、この奥行きの空間の生態を事細かに調べているのが量子力学の世界だと思うといいよ。つまり量子力学というのは、奥行きの世界の詳細な地図になっているということ。そこでは奥行きと幅の関係が虚軸と実軸として表現されていて、奥行きに幅が従者のように付き従っている。
存在の外に疎外されていた人間が存在の内に入っていくという歩み入り。この風景が見えてくると、物理学者たちによる長年の営為の意味がはっきりと分かってくる。それは「存在の声に傾聴しながらそれを正しく守り言葉にもたらす」ことに努めてきたということ。ロゴスからプシュケーへの橋渡しだ。
あとはヌース(能動知性)の登場を待つのみ。世界は今、そのような状態にある。
By kohsen • 01_ヌーソロジー • 0 • Tags: ロゴス, 量子力学