1月 13 2023
集団幻想と個人幻想
集団幻想に生きるか、個人幻想に生きるか。どのみち今の私たちはその二つの選択肢しか持っていない。しかし、ほとんどの場合、個人幻想は集団幻想に隷属していて、社会へと折り返され、結果としてオイディプス化を強化するようにしか働かない。21世紀以降のリベラルの全体主義化がそのいい見本だ。
80年代から90年代、インターネットの黎明期には、グローバルブレインを夢見るヒッピー上がりのイノベーターたちの活気で満ち溢れていた。それぞれの個人幻想が内的フロンティアの中で、それぞれのシナプスが結合させ、そこに生じてくるネットワークがいずれ地球規模の脳の誕生を促す——グローバルブレインは希望に満ちたものだった。
しかし、この夢も大きく崩れ去ってしまった。今やこのグローバルブレインはサウロンの塔のようにモルドールの大地に峻立し、半ばオーク化した私たちを神のようにして支配している。冷静に一歩引いた目で見るなら、デジタルモダンの現実とはそのような風景と呼んで何ら差し支えないだろう。
このような状況の中で、”古き良き主体の回復”を叫んだところで、それもまた個人幻想の一つとして集団幻想(国家主義や民族主義)にたやすく回収されてしまうことだろう。要は、リベラルであれ、保守であれ、オイディプス化の産物だということ。このダブルバインドの呪いはそうは簡単に解かれることはない。
太陽の周りで、グルグルと回り続ける戸惑いの星としての惑星。夏には熱せられ、冬には冷やされる。集団幻想と個人幻想の関係もまた同じようなもの。この反復から出るためには、自分たちが何の周りを巡っているのか、それを知ることが必要だろう。
要は、「汝、太陽となれ!!」ということだ。
1月 19 2023
新しい戦争を始めよう!
FacebookでKさんに教えていただいた歌。【赤ちゃんが泣き止む・喜ぶ動画】だそうな。幼少期からこのあたりのことちゃんと意識づけできてると、今とは違う人間が育ってくるかもね。とてもよい仕事。
【赤ちゃんが喜ぶ歌】あべこべ(うた:チェルミコ)
鏡を使わなければ自分の姿が見えないように、他者なしでは自己は自我を持つことはできない。しかし、一度自我が生まれると、それが他者の眼差しの中で生まれたものだということを忘れてしまう。そして、自他互いに鏡像に堕してしまうと、実像はすべて行方不明になってしまう。それが今の私たち。
本当の意味での”自己実現”を叫ぶなら、まずは鏡の中から出ないといけません。
鏡に映るのは背後の世界です。つまり、鏡像空間というのは後方向の空間のことを指しているわけです。その意味では、自我は後ろ向きの空間の中に閉じ込められていて、実像である前の空間さえも、その後ろ向きの空間の中で見ています。そこに出現しているのが対象です。本当の前の世界、つまり、実像空間の中では、対象とは自分自身です。
鏡像の話になると、やれ左右が反転しているとか、前後が反転しているとか、いや何も反転していないなどと、いろいろと議論されますが、本質は4次元の反転です。つまり、眼差しが反転しているということ。「他者から自分を見る」ことは、4次元を反射させることに同じ。そこに時間が生まれます。
その意味で、私たちの時間認識というのは、実像空間を支えている持続と、鏡像空間を支えている時間、それら互いの反復の中で生まれていると考えられます。時間が物の内と外をつないでグルグルと回っているということですね。
この回転による内と外の協力関係が感覚化できたきたときに、自分と自然との不即不離の関係が見えてきます。というのも、ヌーソロジーから見ると、この高次の空間回路がおそらく原子核を構成していると思われるからです。
鏡像空間に対して実像空間は差異。その実像空間に対して鏡像ももちろん差異。こうして、基本的にはこのような二つの差異を巡っての反復が私たちの意識を形作ってる。ドゥルーズ のいう「差異と反復」もそのようなイメージで考えていいと思います。
鏡像空間の中しか知らない自我の世界のなかでは実像は物として見えているので、鏡像は物を所有することで失った実像の充足を図ろうとします。土地の占有も似たようなものでしょう。鏡像集団においては、これが領土化の欲望となって現れてきます。そして、この鏡像集団同士の衝突が戦争ということになるのでしょう。
つまりは、鏡像空間から出ない限り、個人同士の諍いも、集団同士の諍いも、また国同士の戦争もなくならないということなのかもしれません。ということは、まずは自分の中に鏡像VS実像が戦いを繰り広げている戦場を意識できるようになることが大事です。そこで実像を勝利に導くことにしか、戦争を止める手立てはありません。
新しい戦争を始めましょう。今までとはまったく違った、内なる戦争を!!
By kohsen • 01_ヌーソロジー • 0 • Tags: ドゥルーズ, 差異と反復