3月 6 2017
シュタイナーとのコラボで分かったことの一つとして
延長空間の中で局所的に固定されている物質的身体と、持続空間の中で比局所的に遍在している精神的身体。精神的身体の方は単に自己領域のみにとどまらず、他者領域にまでその持続性を拡大させている。これら両者の相互関係の中に一般にわたしたちが「意識」と呼ぶものの構成が組織化されている。
物理学が局所的ゲージ対称性と呼ぶものの本質はこの組織化のことである。局所的の局所は時空的位置、ゲージ対称性は大局的対称性の場合、非局所的な内部空間における回転対称性のことをいう。両者をつなぐ働きをしているのがボゾンではないかと思われる。分かりやすく言うなら、このボゾンが「ここにいながら、あの日のあそこのことを想える」わたしたち人間の意識の様々な営みを支えているのだ。
今回、シュタイナーとのコラボ本の中の作業で、シュタイナーのいう物質体・エーテル体・アストラル体・自我の構成と素粒子のゲージ対称性との比較を丁寧に行っていったのだが、感覚魂・悟性魂・意識魂というシュタイナーの霊学的な概念を組み合わせると、両者の構造が実はほとんど同じような構成秩序で出来ているということが分かった。
この比較の中で特筆すべきことは、シュタイナーのいう感覚魂と悟性魂のもとになる力が実はわたしたちが空間と時間と呼んでいるものに対応してくるということだ。これは極めて重要な内容だと感じている。何が言いたいかというと、わたしたちが空間と時間と呼んでいるものは「本来、内在的なものだ」ということ。
それを外在としてしか見れていないところに人間の世界に対する認識の転倒のすべてがある。哲学の言葉でいうなら、自分自身の内在性から客観という超越に至るルートが見えていないのだ。哲学が未だに素朴実在論を喝破できていない理由もここにある。
外在世界などといった外の世界など本当は存在していない。祖先以前性を客観的な事実として前提にしている科学が持った素朴実在論の世界像はそのほとんどが幻想にすぎない。
人類の起源、進化論、生命の起源、太陽系の起源、物質の起源etc。これらは外在の物質世界に求められる問題ではなく、人間の内在性から明らかにされていかなくてはならない問題だ。
幅の空間認識から、奥行きの空間認識への移行を果たした知性は、これらの謎を物心一体の世界観のもとに鮮やかに解き明かしていくことになるだろう。
シュタイナー的にいうなら、意識魂の目覚めがもうすぐそこまで来ているということ。空間がエーテル空間へと反転し、空間自体が精神と化していく時代がまもなくやってくると思う。
5月 10 2017
今度のシュタイナーとヌーソロジーのコラボ本は逆識(反-常識)を打ち立てるために書かれた本です
理念を思考する者は、今までに見たことも聞いたこともないような問題を立てなくてはいけない。というのも、理念とは無意識の顕在化を意味するからであり、それは意識が対象としているものの範疇には含まれていないからだ。思考のエレメントの総取っ替えが必要だということ。
では、いままでに見たことも聞いたこともない問題とは、どういう類の問題を言うのだろうか。例えば、宇宙はどのようにして生まれたのか、といったような傍観者的な問い立てでは全く意味をなさない。それだと結果(同一性)の世界の中での堂々巡りが続くだけだ。科学的思考がそれを代表している。
むしろ、このような宇宙が成り立つためには見るものと見られるものの間の関係性にどのような条件が必要となるのか、といったような当事者的問い立てが要請されてくる。つまり、物質世界全体を超越論的思考の網にかけることが必要なのだ。そこで初めて思考は物質との直接的な接触を持ち始める。
スピノザ、ベルクソン、ドゥルーズの思考の系譜がつねに「永遠の相」のもとに思考を展開しようとするのも、このような見るものと見られるものが一致した位相には、クロノス(物理的時間)の勢力が及ばないと考えているからだ。
物質は時間と空間の内部に出現してくるものには違いないが、その組織化自体は時間と空間の外部で為されている。素粒子が複素空間でしか記述できないのもそのためだ。物質の根底がそうなのだから、原子も分子も鉱物も生物も、その組織化が為されているのは、時間と空間の外部において、なのだ。
シュタイナーが語るエーテル界やアストラル界といった世界は、言葉の響き自体はオカルティックに聞こえるかもしれないが、そうした時間と空間の外部にある、永遠の相における領域のことだと考えるといい。
そうした永遠の相の世界を丸々否定している、というか、それをないものとして全く考慮しないのが科学的思考だと考えると、科学的唯物論が呈する世界観がいかに狭隘な場所に人間を閉じ込めようとしているかが分かるだろう。そういった場所では、人間は干からびる。
今度のシュタイナーとのコラボ本では、こうした内容をシュタイナー側とヌーソロジー側から、逆識(反-常識)を通した人間宇宙論として詳細に語っている。要は、今まで見たことも聞いたこともない問題提起で埋め尽くされた、理念世界の紹介本になっている。是非、多くの人に読んでもらいたい。
By kohsen • 01_ヌーソロジー, 06_書籍・雑誌, シュタイナー関連 • 0 • Tags: アストラル, エーテル, シュタイナー, スピノザ, ドゥルーズ, ベルクソン